第6回 主体性を養う特別支援学校での食育

兵庫県尼崎市立尼崎養護学校 栄養教諭・栗原恭子さん

私の勤務する尼崎市立尼崎養護学校は今年創立52年を迎えた肢体不自由特別支援学校です。5月1日現在、小学部19人、中学部11人、高等部25人、計55人の児童生徒が在籍しています。『一人ひとりの自立と社会参加をめざし、生きる力を育てる』を教育目標に掲げ、教員57人、介助員25人、その他職員17人で指導にあたっています。

個に応じたさまざまな調理や指導方法

本校の児童生徒は様々な機能障害のため、大多数が日常生活において介助を必要とします。
給食時間においては、摂食機能が個々に違うので、使用する食器や道具の選定、食事形態の検討を行い、個に応じた摂食指導を行っています。また言語聴覚士の先生による指導も受けています。
使用する食材は小さく切り、舌でつぶせるくらいの軟らかさに仕上げます。また煮物や炒め物でも汁気を多くし、食べやすくしています。さらに摂食の困難な児童生徒用に、できあがった献立をスピードカッターにかけ、ペースト状にした物も作っています。

食べようとする気持ちを大切に

「食べる」という行為は生きていく上で重要な行為です。しかし一人では食べることができない児童生徒もいます。そのような児童生徒を介助をする時でも、食べさせるのではなく、自分で食べようとする気持ち、主体性が養われるような指導を目指しています。
毎日、給食時間に教室を訪問し、全員の摂食状況を見ています。そうすることで、より安全な形態の給食を提供することができ、また児童生徒の摂食に対する成果を感じることができます。
摂食機能の低下している児童生徒は、食べることのできる食材も限られてしまいます。しかしなるべく多くの食材を食べてほしいと常に考えています。また、より個人の能力に合わせた指導が行えるよう考え、調理実習にも参加し、指導しています。

心も体も成長できる食育を

自分の意志を表すことができず、介助がなければ摂食できない児童生徒でも、大好きな献立がでると口を大きくあけ、一生懸命に飲み込もうとします。子どもたちのこのような姿を見る時が、今の仕事にやりがいを感じる瞬間です。
肢体不自由特別支援学校でどのように食育をすすめていくか、まだまだ手探り状態です。しかし子どもたちが卒業するまでには、主体性を持てるような摂食指導を続け、心も体も成長してほしいと願っています。
(全学栄兵庫県支部長)

11月はさいたま市立田島中学校・伊藤和義先生の予定です。

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