第9回 楽しい浜辺給食から始まる食指導

三重県伊勢市立今一色小学校 栄養教諭・西山なつさん

三重県では、平成18年度から栄養教諭の採用が開始され、今年度で5年目になります。三重県の栄養教諭の食に関する指導時間は、基本として各教科・道徳・総合的な学習の時間・特別活動の時間に年間150時間程度の食育授業の実践、その他、個別的な相談指導、給食指導とされています。私たち栄養教諭は、勤務校と兼務校の食育授業を行うために、年間計画を立て、それぞれの学校の食育担当者・養護教諭・家庭科教諭等と連携して食指導に携わっています。
勤務校ではそれぞれ、特色ある給食指導や子どもたちに寄り添った食教育、個別指導が実施されていますが、兼務校では時間的な制限もあり、担当者との連携もなかなか難しいところがあります。特に中学校における食教育が取り組みにくい状況ですが、今年度は栄養教諭の数も100人を超え、一人ひとりがますます気を引き締めて取り組まなければなりません。

学校行事は縦割り班で活動

私の勤務する今一色小学校は、伊勢平野の南端、伊勢湾に面した五十鈴川の河口に開けた半農半漁の町にあり、学校規模は児童数81名、特別支援学級を含めて7学級の小さな学校です。
子どもたちは、毎日の掃除を始め学校行事などはほとんど縦割り班で活動していることもあって、学年を超えたつながりが強く、休憩時間には低学年と高学年がいっしょになってサッカーや鬼ごっこなどで遊んでいます。年度当初に新しい1年生を迎えるとすぐ班の編成が行われます。新しい班での活動が開始されて約1ヶ月後に、班活動第一弾の大きな学校行事として浜掃除・貝掘り・海辺での会食が毎年実施されています。そこでは新6年生がリーダーシップを取り、浜に打ち上げられたゴミの掃除を済ませ、あさり貝を掘り、仲良く縦割り班で浜辺給食を行っているのです。

小規模校の良さを生かす浜辺給食

浜辺給食と名付けられた給食は、小規模校の良さを生かして、朝から全校分の給食をお弁当の形にして作り、子どもたちが活動している浜辺に運びます。浜辺での給食は、給食委員会が中心となってみんなにお弁当を配り、後片付けの仕方などを指示した後、子どもたちと教職員全員が班別にまとまり、全校一斉に楽しい給食になります。みんなできれいにした浜辺で、今一色特産の貝掘りを楽しみ、お弁当給食をいただきます。高学年が低学年の世話をしながら、低学年も高学年のお兄さんやお姉さんの言うことを一生懸命聞いている様子は大変ほほえましく、食事のマナー、みんなで気持ちの良い食事をすることの大切さを知る良い機会となり、仲間づくり、集団づくりにおおいに役立っています。

給食も公開して地域と交流

後期に行われる学校公開日には、給食も公開しています。調理場の様子は窓越しではありますが廊下から見ることができます。子どもたちの給食準備、食べる様子、後片付けの様子も見ていただいています。公開日に合わせて給食試食会も実施しています。
試食会への参加対象者は、保護者だけでなく、祖父母や区長・学校評議員など、日頃学校運営でお世話になっている地域の方々にも呼びかけています。栄養教諭が学校給食について直接地域の方々に話すことができる唯一の機会であり、学校給食への理解を深めていただいております。試食会には毎年参加される方も多く、非常に和やかな雰囲気の中で学校給食について、献立の変遷や子ども達の嗜好など、食に関わる様々な話しをしながら食事をしていただいています。

給食から地域の健康づくりへ

小規模校は、地域との結びつきが強く濃いと感じられがちですが、きめ細やかな働きかけをすることにより、日頃の活動等が正しく理解されていくことにつながります。食教育や給食での地産地消についても、学校行事の場を積極的に生かして伝えるように心を砕いていくことが大切です。また周りの声を聞くことが、より学校給食の役割を高めていくことになると考えます。
このような学校給食を通しての活動が、少しでも地域での食と健康につながればと考え、単に行事の消化にならないように自分なりの視点をしっかり持って職務に携わっています。
(全学栄三重県支部長)

2月は青森県青森市立油川小学校・長沼裕美子先生の予定です。

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