第10回 子ども達と考えた青森の「食」

青森県青森市立油川小学校 学校栄養職員・長沼裕美子さん

今、青森市は東北新幹線全線開業に沸いています。新青森駅は油川小学校から車で数分のところにあります。校舎の上階からは新幹線の車両センターを間近に見ることができ、子ども達も胸を躍らせています。この祝事を食育と関連させて何かできないか、市内の栄養士たちが検討を重ねました。 そして開業日前に「新幹線プリン」と称して、青森県の米とりんごを主原料に作られた県産ミルクプリンのふたの部分に、市内の小学生が描いた夢いっぱいの新幹線の絵画をプリントしてデザートに出してお祝いをしました。この企画は地元の新聞社やテレビ局に大きく取り上げられました。絵画を描いた児童はもちろんですが、市内すべての子ども達がとても喜んでくれました。

身近な食材で思いが育つ

昨年、第4回全国学校給食甲子園決勝大会に参加することができました。この反響は大きく、栄養士の仲間や本校の先生方や児童だけではなく、県内の多くの方から応援をいただきました。さらに今年初めて青森県が主催した、青森県学校給食献立コンクールの第2次審査(調理審査)に本校チームの出場が決まり、今は慌しくその準備に取り掛かっているところです。
このコンクールは子ども達の発案による献立を、児童、調理員、栄養士がチームになり給食として作り上げるというもので、本校は油川に関連した食材で献立をアピールしています。調理審査がとても楽しみです。
給食甲子園の参加でも実感しましたが、このようなコンクールへの参加は、子ども達の「私たちの給食」に対する思いが育ち、教育効果は非常に高いものがあります。

子どもたちが育てた米で給食

油川は室町時代から集落を成している歴史のある町です。著名な酒造店や地産地消の食品を扱う店も多く、『元気町あぶらかわ』として、町全体の活気があります。うれしいことに、登下校はもちろん学校行事には、子ども達のサポートをしてくださるボランティアの方々もいます。そして、学校の近くには田んぼがあり、米作りを教えてくださる地域の方々の協力により、本校の5年生は毎年米作りの体験学習をすることができます。青森市内でも米作り学習ができる学校は珍しいのではないかと思います。
田植え、草取り、稲刈りを体験し、最後には自分たちが作った米を調理して食べる事で、給食でもごはんの食べ残しが減ることになり、食育に絶大な効果があります。まさに食育を通して地域と家庭と学校が繋がっているケースです。

「青森の食」を生きた教材に

新幹線開業という一大イベントにおいて、まず「青森の食」をアピールしていこうという県民全体の意識が強いように感じます。農林水産物の新鮮さ、おいしさは青森県が他県に自慢できる最大のアピールポイントであり、子ども達にとっては「生きた教材」だと確信しています。青森県特有の食育教材は、まさに郷土愛(道徳)、おいしい食材が育つ風土や食の歴史(社会科)、郷土食(家庭科)など、様々な教科に活かすことができる素晴らしい教材ばかりです。

新幹線効果を食育の追い風に

このような熱い新幹線効果が、学校現場の食育に携わる者にとって追い風になることを願いながら、これからも教材研究に励み、地元の子ども達においしい給食を提供していきたいと思っています。
みなさん、ぜひ東北新幹線に乗って、けの汁やせんべい汁など、青森のおいしいものを堪能しにいらしてください。お待ちしています。

3月は島根県松江市立八雲小学校・長島美保子先生の予定です。

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