第11回 食育は、知識から実践する力の育成へ

島根県松江市立八雲小学校 栄養教諭・長島美保子さん

私の勤務する八雲小学校では、20年以上前から小・中合同の学校保健会をもち、児童生徒や保護者に対して生活習慣病予防の健康教室を開催してきました。その結果、保護者の食と健康への関心は高いと言えますが、生活リズムや朝食のあり方など取り組むべき課題はまだたくさんあります。
栄養教諭として4年が過ぎました。教育の現場で子どもや保護者と向き合いながら、手応えのある食育に取り組むことができる日々は、苦労はあっても楽しい毎日です。

まず「食に関する指導の全体計画」の作成

栄養教諭としてまず食育を推進していくとき、学校の教育目標を据えた「食に関する指導の全体計画」が重要です。年度初めにこれを校内職員会で説明し、教職員全体に共通理解を図ります。
さらに発達段階ごとに年間指導計画を立て、担任、教科担任等と連携を図りながら計画的な指導に取り組みます。指導では体験活動を重視し、他領域との関連を図り、家庭・地域にも指導内容を発信します。

学習を実践に移す「子どもだけで作る弁当の日」

家庭科の学習を踏まえて、小学校5年生はご飯を炊くことができます。6年生は一食分の献立を考えることができます。この5・6年生に「子どもだけで作る弁当の日」を実施しています。学校長が発行する家庭向け文書をもって周知を図り、担任、家庭科担任、栄養教諭が連携することで、学校全体の取り組みに位置づけています。
「子どもだけで作る弁当の日」を通して、子どもたちはやりがいや満足感を抱き、「やればできる」子どもの姿を保護者は知ることになります。まさに知識を実践する力にかえる取り組みの一つだと思います。

養護教諭と連携した健康教育「すこやか健康教室」

児童生徒が自分の健康状態としっかり向き合い、生涯に向けて健康的に暮らそうとする態度を身につけさせたいと、「すこやか健康教室」を毎年実施しています。小学2・6年生、中学2年生が対象です。血液検査の結果と食生活アンケート調査に基づいて、「生活習慣病を予防する食事」の指導を行った上で、体によい食事のとり方をバイキング給食で体験します。
児童生徒の課題を養護教諭と共有し、お互いの専門性を生かしながら、個別に、または連携して学習や体験活動を行います。そして年度末には結果を評価し、次年度の活動につなげます。

PTAと連携して「朝から元気な八雲っこ」を育成

食に関する指導で得た基礎基本の知識を実生活に生かし、体験の継続によって定着を図っていくには、実践としての場が機能すること。その第一歩が家庭です。そのためPTAと連携した活動を大切にしてきました。「早寝・早起き・朝ごはん」をテーマに、親子料理教室や食育講座&食育クッキングなどを開催しています。

食育の中核を担う栄養教諭

新しい学習指導要領の総則には、「食育の推進」が明記され、各教科においても関連した指導が行われるよう述べられています。これらを踏まえて食育を実践するためには、体系的に整理して取り組むことが必要です。その中核を担うべき栄養教諭の配置はまだ十分ではありません。でも全国の栄養教諭・学校栄養職員が指導や情報を共有し合いながら、お互いに資質向上を図っていきたいと思います。

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