第24回 毎日の給食が子どもたちへの熱い食育メッセージ

岡山県新見市哲西町学校給食共同調理場 栄養教諭・森本恭子さん

私は今、35年続けてきた学校栄養士を卒業しようとしています。思い起こせば、新採用からの10年間は単独校勤務でした。子ども達と「おはよう」と交わす挨拶から1日が始まり、一緒に給食を食べて指導を行い、「おいしかったよ〜」という声を聞き、先生方と指導について話し合うことが、当たり前のように思っていました。

子ども達に会いたさの一心で給食指導

しかし、その後共同調理場勤務となり、学校から離れた場所にポツンと調理場がありました。2週間ほどたって「何だか変な感じ。もの足りない。とても寂しい」と思うようになり、その原因が子ども達の歓声が聞こえない、顔が見られないことであることに気付きました。子ども達の顔が見えないことが、こんなにも寂しいことなのかということをこの時、初めて実感しました。
「子ども達の給食を食べている姿が見たい、会いたい」。
この一心から、受配校に出向き給食指導が行えるよう年間指導計画を立て、給食運営委員会に提案し、了承を得て、やっと子ども達のいる学校へ行くことが出来ました。今では当然のことなのですが、25年前の私にとっては必死だったのだと思います。

声を聞きながら充実の日々

給食時間の指導を中心に、その日の献立を教材として生かしながら、短時間で「見て・楽しく・わかる」指導を目指し、子ども達に待ち望んでもらえるようにしたいと思い、指導の媒体(教材)作りに励みました。やがて子ども達から「今日は何の指導?」、「今度はいつ来てくれるの〜?」と尋ねる声が聞かれるようになり、昼休みに一緒に運動場で遊んで調理場へ帰っていました。調理員さんからは、「学校へ行く時が一番、生き生きしているよ」と言われ、やはり伝わるのかなぁ〜と思いました。そして給食研究会の指定を受け、食に関する指導の基盤を築くことができました。

献立こそが生きた食育の教材

その後、何度かの転勤を経て栄養教諭になりました。現在は「歯と口の健康づくりの研究」に取り組んでおり、最後まで研究授業を行いました。35年の勤務で得た食育の結論は、給食は献立が生きた教材となるような食事内容であり、献立にふさわしい配膳であることだと思います。これらの給食管理ができてこそ、食育につながるものと考えます。

自分がワクワクする指導を

また自分がワクワクするような指導でなければ、子ども達はワクワクしないと思います。創意工夫のある、子ども達の目線にたった指導であり、何より子ども達と一緒に学習することが楽しくなるような指導が望まれます。楽しさの裏には、指導案や細案や教材が完成するまでの重い苦しみがあります。その苦しみを克服してこそ、栄養教諭の醍醐味があります。
失敗して悲痛な思いの時や成功した時の喜びの積み重ねの35年でした。今後は、この経験を後進の指導に生かせるよう、精進して参りたいと思っています。

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