第31回 「前向きなお話タイム」から始まった私の食育

島根県大田市立第三中学校 栄養教諭・石橋真澄

栄養教諭として6年目を迎えました。念願の栄養教諭になったものの、道標がありません。当初は、調理場と学校を行き来しながら、宙ぶらりんな自分に、毎日悶々としていたように思います。多くの栄養教諭が、きっとそうだったのではないでしょうか。

職員室で情報を仕入れ

調理の現場もあり、学校に長い時間滞在することはむずかしいのが現状です。そんな中、調理場の仕事を持ち込み、できるだけ学校で過ごす時間を長くしてみました。自分の中で〝前向きなお話タイム〟と名づけ、職員室の中のいろいろな話題に参加するよう心がけました。
そうすると、学校の今の流れ、給食時間等では知ることのできない子どもの実態、どの先生が食育に興味があるか、また協力してくれそうか…等、実にいろいろな事が見えてきました。

食育を「体験」で終わらせないために

今思えば、学校の先生方も、私に何をどこまで頼んだらよいのか、遠慮をされていたようです。そして、この“前向きなお話タイム”から、食育への取り組みが始まりました。
大田市は、世界遺産の石見銀山遺跡があり、これにまつわる『箱寿司』という郷土料理を家庭科で調理実習しています。しかし、今では箱寿司を作る家庭も少なく、箱枠そのものがありません。これでは、生徒は箱寿司を体験しただけで終わり、先へとつながっていきません。

郷土料理を教材に各教科でも取り組み

悩む私に「少し簡単な作りにしたら、生徒たちでも箱枠が作れるよ」、「それ、技術の時間を使おうか?」、「だったら、総合のふるさと学習で郷土料理も調べさせようか?」、「じゃあ、調理実習する前に、学活で郷土料理についての時間をあげるよ」など先生方からは相次いで提案。タイムスケジュールが次々とできあがっていきました。
今ではこの教科を横断した、食に関する指導が定着し、生徒が家で箱寿司を作り、家族にふるまうなどという話も聞こえてきます。これをきっかけに、生徒が作る『お弁当の日』にもつながっていきました。

知識を智恵に、生活でどう活かせるか

食に関し、様々なことを指導していますが、それが学校だけでの「知識」、「体験」、「イベント」で終わっては、あまり意味がないと常日頃考えています。どうしたら、学習したことを「食」の智恵として、自分の生活に活かすことができるか…これからも、〝前向きなお話タイム〟からヒントをいただきながら、食育を進めていきたいと思います。

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