第37回 安全でおいしい給食作り…一生懸命を子どもたちに伝えたい

熊本県八代市西部学校給食センター 栄養教諭・福岡ちづる

今年で学校給食の栄養士となり20年目になりました。新任の頃、20年も働いている先輩の学校栄養職員は落ち着いて仕事をされているように思えていましたが、私は“本当にこれで大丈夫なのか”と自問自答しながらバタバタと仕事をしています。

理想の実現など考える余裕なかった新任時代

20年前に学校栄養職員として採用された時に管理職から「あなたは、どんな仕事をしたいか」と質問されました。私は学生時代に1週間実習したのみで、学校栄養職員が具体的どんな仕事をするのかがわかりませんでした。しかし、「地域のものを使って何か料理を開発して、子どもたちに食べさせたい」と答えていました。それからは毎日の仕事をこなすことに必死で、学校栄養職員としての理想に向け、それを実現するための手立てを考えるなどできませんでした。

思い立って地元農家の方々に取材

働き始めて数年経ち、毎日の検収の時に野菜納入業者さんに「毎年この月には○○県のじゃがいもなのに、今年は○○県のじゃがいもが来ていますね」と尋ねると「今年は日照不足で早く終わったようです」と話されました。“同じ時期に出す献立の材料でも、その年の気候によって収穫量が違う”…そんな当然な事を考えられないほど仕事に追われていたのか。私は自分自身の仕事への志の低さに恥ずかしくなりました。
“ここで何かしなければ!”と思い立ち、地元農家の方々に取材を始めました。農家の方は、誇りをもって野菜を作っておられ、それを買って食べてもらうことの喜びを話されました。その姿に感激し、感謝して食べる心を育てる原点がここにあることを痛感しました。この事を子どもたちに伝えなければと思い、その地域で収穫される野菜を使った献立を作り、農家の方へのインタビューをビデオ撮影し給食時間に放送しました。子どもたちの反応がよく、自分自身の道が開けた気がしました。

校内放送で思いを伝える勉強

以前から給食時間に食についての資料提供はしていましたが、これを機に今日の給食について食材や、給食センターでの作り方などを、校内放送を使い自分の言葉で伝え始め、食の指導の中心とするようになりました。地元でとれた野菜について話すと、子どもたちは「知り合いの人だ!」「親戚の人だ!」などと反応し、給食時間の会話にも変化がありました。子どもたちに意味がうまく伝わらなかった時は、担任の先生から指摘していただき、短い時間で“食に関して”様々な話を分かりやすく伝えるための勉強をする場にもなりました。

小さな思いが、人と仕事の広がりを生んだ

地元の食材を活かしたおいしい給食を作るためには、献立研究と調理員さんとの連携は必要不可欠です。そして安全な給食でなければなりません。“安全でおいしい給食を一生懸命つくったことを児童生徒に伝えたい”…最初の小さな思いが、いろいろな人や仕事の広がりを生み、新任の時に語った自分の抱負を今、実現しています。
今では地元農産物の活用や食に関する指導は、誰もが実践していることでしょう。しかしそこに至るためには、先輩方の道を踏襲しながら、新しい道を作るための紆余曲折あり、簡単ではなかっただろうと思います。
子どもたちにとって給食時間が楽しく、食を学ぶ場になるよう今後もがんばっていきたいと思います。

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