第40回 保護者と共に学んだ「ゼリー食」

鳥取県立鳥取養護学校 栄養教諭・竹内聰

私が勤務している学校は、摂食機能に問題を抱える児童生徒も在籍しています。そのため、摂食機能の維持・向上を図りながら安全においしく食べられることを目標に、児童生徒の実態に応じた食形態(刻み食、ペースト食、ゼリー食)で給食を提供しています。

加工しても「おいしい」献立を

献立作成は、海や山に囲まれ豊富な食材に恵まれた鳥取県の利点を活かし、季節の移り変わりを感じられるよう、四季折々旬の地元食材を取り入れた内容となるよう努めています。しかし、加工食にすると食材(特に野菜)によっては、苦みやえぐみが強くなるなど、決しておいしいとはいえないものもあります。栄養教諭として「食べてほしいもの」と「おいしく食べられるもの」との間で悩むところです。

保護者の思いが切っ掛け

本校の給食の特徴として「ゼリー食」があげられます。「ゼリー食」はなめらかでべたつきが少ないため、嚥下機能が低下し誤嚥の危険性が高い人でも安全に食べられる食形態とされています。私がそのゼリー食という食形態を知るきっかけとなったのが、就学を控えたお子さんをもつ保護者からの声でした。保護者の『わが子にも口から食べる楽しみを味あわせてあげたい』という気持ちは強く、安全に食べられる経口摂取を求められた結果、ゼリー食にたどり着き、実際に家でも食べておられるということでした。その方から「学校給食でもゼリー食の提供をして欲しい」という要望がありましたが、当初私たちは未知の食形態に戸惑いました。しかし、保護者の経口摂取にかける熱い想いに心を打たれ、お子さんの入学までに安心して食べられるゼリー食をつくることを目標に、ゼロからのスタートを切った訳です。

工夫を重ね何とか形に

就学前の子どもたちが通園している保育園を見学して、ゼリー食の作り方や完成品を確認したり、言語聴覚士に増粘剤の配合や手順の指導をいただきながら作業工程の見直しを図りました。なめらかなゼリーになりにくい食材も予想以上に多くありましたが、年度末には何とか形にすることができました。しかし、なめらかさや硬さなどについて課題が多いことが保護者皆様の指摘で分かりました。

児童の笑顔で保護者と喜びを共有

その後、子どもたちに適したゼリー食を提供するため、保護者と効率的な加工作業行程を話し合ったり、保護者の失敗談をもとに食材によって加工方法を変えてみたりしました。試行錯誤の結果、何とか児童に適したゼリー食になってきたと感じたのは給食を提供し始めてから1ヶ月くらい経った頃でした。「ゼリー食」を食べた児童からは笑顔がこぼれ、保護者と喜びを共有することができました。

一人ひとりの実態に合った食形態を求めて

子どもたち一人ひとりが給食を楽しく食べながら、色々な食べ物の味や香り、触感を体験していく中で、食べる喜びを感じられる…そんな学校給食にしたいという思いで日々給食づくりに取り組んでいます。

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