第44回 「長寿県おきなわの再生をめざして」

沖縄県学校栄養士会会長 栄養教諭・根川文枝

「一校に一名の栄養士の配置、その身分は栄養教諭」を目標に全国学校栄養士協議会が設立され50年余が過ぎ、現在全国に4200名余の栄養教諭が誕生し「食育の推進」に日々奮闘しています。
そして私たち沖縄県学校栄養士会は、昭和41年、研究会として発足。これを足がかりに全国大会にも参加、田中名誉会長をはじめ他県の方々との交流が始まりました。全国学校栄養士協議会・沖縄県支部として仲間入りさせて頂いたのは昭和44年です。現在は144名の会員、うち44名が栄養教諭。日々食育の推進に努力を重ねています。

完全給食と栄養士配置が急拡大

沖縄県の学校給食は、アメリカ統治下にあったため全国より遅れ、昭和37年7月に完全給食が実施されました。
当時は学校栄養士も配置されず、琉球政府文教局の給食担当主事のもとで給食が実施されたようです。その翌年から完全給食が開始され、県内ではじめて学校栄養士が採用になりました。その後、完全給食が急速に拡大したために、一人で数校を担当し、巡回指導する日々が続きました。そして学校栄養士の必要性が理解され、採用が急増し配置が進んだようです。

保護者向けに食育実践講座を開催

平成23年3月、第2次食育推進計画が策定され「周知から実践」をコンセプトに、全国で取り組みが深められています。これを踏まえ私たち沖縄県学校栄養士会は、保護者や児童生徒を対象に、食に関する講話や学校給食を活用した調理講習会を開催し、学校給食への理解を深める活動を継続中です。
また「自己管理能力を身につけた児童・生徒の育成」と「食に関する意識の高揚」を目的に、平成23年度からは「学校栄養士による家庭・地域と連携した食育実践講座」を開催しています。

食への意識、向上すれば行動も変容

児童生徒・保護者の食生活アンケートから明らかになったのは、同講座の実施前後で、朝ごはんを「家族そろって食べる」が39%→67%、給食に苦手なものが出たら「少しは食べる」が31%→67%などの改善です。また保護者では「給食だよりを読んでいる」、「家庭で食事の話をする」などで事後のポイントが高くなりました。
同講座で多様な食に関する知識に触れ体験することで、食や学校給食に対する意識が高まり、行動変容につながったことがうかがわれます。
また児童の感想には「給食の献立を実際に作ってみて、もっと大切に食べようと思った」「お母さんは、いつもこんなに時間をかけて食事を作ってくれているのでありがたいと思った」などがありました。料理に興味を持ち、食べ物や食事を作ってくれる人への感謝の気持ちを持つことなど、健康なからだ作りの基礎になると考えます。

全国平均上回る脂肪の過剰摂取

「2011年度県民健康・栄養調査」の結果、糖尿病や脳梗塞など生活習慣病の要因とされるメタボリックシンドロームの該当者と予備軍を合わせ、県内の40歳以上で男性は3人に2人、女性は3人に1人に上り、肥満者の割合も20歳以上の全年齢で全国を上回っています。脂肪の「過剰摂取者」が男性で3割強、女性で4割を占め、男女とも全国平均より10ポイント以上という深刻な状況にあります。
「2010年の各都道府県生命表」では、本県の平均寿命は女性の1位が3位に、男性は25位から30位へ順位を下げました。2000年に男性の平均寿命が26位に転落した「26ショック」以来、官民あげて「長寿県おきなわ」の復権に向けて様々な取り組みを推進してきました。しかし依然として「赤信号」が点った状況に変わりなく、県民の食生活の改善を図ることが喫緊の課題です。

児童生徒の望ましい食習慣が長寿県の復権に

学校栄養士が食育推進のコーディネーターとしての役割を発揮し、学校から地域へと活動の場を広げることは、学校、家庭、地域の役割を明確にしつつ連携を図ることができ、県民の食生活改善を図る上でも大変意義深いことです。
将来の沖縄県を担う児童生徒一人ひとりが、望ましい食習慣や食に関する判断力、自己管理能力を身につけ、健やかに成長することを願います。それは同時に「長寿県おきなわ」の復権につながるものと信じ、栄養教諭や学校栄養士が専門性を発揮し、さらに食育の推進に取り組んでいきたいと思います。

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