第45回 「食文化としての『和食』を大切に」

兵庫県三木市立緑が丘小学校 栄養教諭・横谷宏枝

先日、テレビで「和食」がユネスコの無形文化遺産に登録される運びになったニュースをみました。本当に喜ばしいことだと思います。
私が採用された昭和54年当時はパン給食だけ、ごはんは週1回家庭から弁当箱につめて持参してもらっていました。給食の献立もパン中心のメニューで、シチューや揚げ物とスープの組合せなどでした。オーブンもなく、回転釜だけで調理していました。週1回のごはん持参の日、米飯給食の献立をどのようにしていたのか。今振り返ると、新任の頃の私には、日本の主食としての米への思いが少なかったようでした。

米飯給食を機に献立を工夫

私が勤務した三木市は米作農家が多い地域で、家に米があるから給食は必要ではないと、市内の2校だけが給食を実施していました。しかし昭和40年代ごろから宅地開発が進み、56年にようやく市内一斉に小学校の給食が開始になりました。週に米飯2回(委託炊飯方式)の給食です。初めての給食に慣れない児童や給食指導を負担に思う教員に、給食を好きになってもらい楽しい時間になるよう、献立の研究に取り組みました。米飯委託業者に依頼して、酢飯やしょう油ご飯を炊いてもらい、ちらし寿司や炊き込みご飯の献立、魚を使った献立、地元の食材(米や野菜)を使った献立などを考えました。

進行する家庭の和食離れ

家庭の和食離れは給食の残菜にも見られました。洋風や中華風の献立はよく食べるのに、野菜の煮物や和え物は残菜が増加。魚の骨があると食べられない子が少なくなく、幼児期の食に関する経験が少ないことがわかりました。
食の体験は、心を豊かに成長させるために必要です。生活科や総合的な学習の時間で野菜や米の栽培を体験し、収穫した野菜を自分たちで調理し食べると、苦手なものも「おいしい」と目を輝かせています。

子どもには食と生活の経験が必要

食の指導などで子どもと直接触れる機会が多い栄養教諭になり、改めて子どもたちを見ていると、ますます生活や食の体験が必要だと感じます。新1年生の給食指導を行うときは、配膳の道具の持ち方から教えます。家庭でご飯やおかずをよそったことがない子どもがほとんどなのです。でも2年生に進級する頃には、スムーズに給食準備が行えるようになっています。日々の小さな実践ですが、気持ちよく楽しく給食の準備ができ、おいしく給食を食べることは生活の基本です。

少しずつ食育の輪を

栄養教諭となって2校目となる本校での勤務です。校長先生は、子どもたちに機会あるごとに「早寝、早起き、朝ごはん」を、と食の大切さを教えていらっしゃいます。私もおいしくて楽しい給食を通して、食に興味を持たせ、正しい食習慣や食文化を身に付けて欲しいと思います。そして、少しずつ食育の輪を広げていきたいと願います。

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