第48回「学校給食は『その日の気分』で選べないからこそ」

埼玉県桶川市立朝日小学校 栄養教諭・杉本眞吾

家庭料理のメニューは、作り手のその日の気分で変わるものです。食べたいものをイメージして食材を用意して料理する場合が多いでしょうが、ときには、家にある食材だけで作る場合もあるでしょう。また、予定していた食材の買い物をしている最中に、料理の予定が変わることも考えられます。外食の場合もメニューを見てオーダーを告げるまで、思案することができます。これらに対し、学校給食は何ヶ月も前から献立を検討した上で実施されるので、食べる側のその日の気分といったものを反映することは非常に難しい、ある意味、特殊な食事といえます。

歴史の変遷重ねる学校給食

学校給食の歴史をひもとくと、始まりは経済的に困窮する家庭の子どもに食事を用意し空腹を満たすことでした。最近では、学校給食は単なる食事ではなく、先生や友達と一緒にする食事をとおして、多くのことを学ぶ教材としての役目も担っています。学校給食が始まって125年、まさに隔世の感があります。

6年間に1度だけ「その日の気分で…」

時代は変わっても、学校給食ではその日の気分で料理を選ぶことはできません。しかし本校では6年生が、しかも6年間でたった1回だけですが、「その日の気分で…」を実感できる日があります。それが「バイキング給食」です。
私はここ数年、この日に主食4品、主菜3品、副菜4品、デザート4種類6品、飲み物3種類5品のメニューを提供しています。コンビニにあるような中華まんの保温機を借り、電磁調理器も駆使して熱々の料理を並べられるよう努めています。

料理の嗜好は十人十色

6年生だけでなく全教職員も一緒に会食できるように調整を行い、いつもより長めの時間を設定してゆったりと食事を楽しめるようにしています。毎年バイキング給食の実施にあたっては、児童に摂取量を算出させ、感想も書かせています。これを見ると、児童が「美味しかった」と答える料理が集中することはありません。嗜好は十人十色だとつくづく感じています。

美味しいことが第一条件

私は日頃、食事は食材の持ち味を生かすこと、なにより美味しいことが第一条件だと思い、それを矜持としてこの仕事をしています。単に児童の好き嫌いに迎合するつもりはありませんが、これからも「美味しい」と支持される給食を作りたいと考えています。

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