第54回 「おいしい給食」は皆を幸せにする

広島県呉市立川尻小学校 栄養教諭・大須賀恭子

学校栄養士になって気がつけば36年、栄養教諭としては3年がたちます。
スタートから33年間は市内統一献立で、自分が献立をたてるのは年に1回。発注は市の事務局が行うので経験なし。その分、市内共通の様々な資料作りや食育の授業には力を入れることができ、指導面では自信を持っていました。

まるで新米の栄養士

そして3年前、栄養教諭になったと同時に現在の小学校に転勤。単独校でさらに町内の中学校の給食も作る親子給食。突然、天と地がひっくりかえったような毎日が始まりました。献立作成、発注、調理指導、支払い、初めての中学校の給食。献立表や給食だより、盛りつけ表などもすべて一人でこなします。
まるで新採用の栄養士の状態でした。仕事の割合を振り返ると、学校栄養職員の時は管理3:指導7とすれば、栄養教諭として転勤してからは管理7:指導3に逆転かも…。

言い訳はできない

県教委の指導主事が学校訪問に来られたのは、ちょうどその頃です。私は「給食業務に時間をとられ、指導面に力を入れられない」とつい弱音を吐きました。すると指導主事から「つまりこれまで7できていた指導を、今は3しかやっていないということですね」と言われ何も返事ができませんでした。言い訳はできないのだと思いました。

こだわった「おいしい給食」

管理と指導のジレンマを抱えながらも、いつも心においていたのは「おいしい給食を作ること」でした。だしをちゃんととり、手作りを心がけ、おいしい給食作りに神経を注ぎました。やがて先生方から「すごくおいしくなった」という声が聞かれ、次に給食にあまり関心を示していなかった中学生の残食が減り、楽しみにするようになったという声が届くようになりました。
おいしい給食は子どもや先生達を幸せにするのです。そしておいしければ先生達の指導にも熱がこもります。おいしい給食は食育を支える土台かもしれません。

やっと一人前の栄養教諭?!

3年目を迎え、調理員さん達もとても協力的。校長先生は「うちの給食はどこよりも自慢!」と、リーダーシップを発揮して学校の食育推進にも力を注いでくださいます。おかげで校内の食育の取り組みも進んでいます。このたびの転勤はまさに私にとって人生の転機。一人前に近づくように神様が与えてくれた試練だったのかもしれません。
考えてみれば全国の栄養教諭は皆、現場を運営しながら指導もこなしているのです。「管理と指導の両立を!」と言われます。言うは易しですが、行うのは簡単ではありません。けれどそうしてはじめて、栄養教諭としての使命が果たせるのだと改めて感じています。

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