第63回「食でつながる、食がつなげる」

福岡県志免町立志免中央小学校 栄養教諭・高瀬由美

「包丁、初めて使う」。今から10年程前、中学校で調理実習を行っていた時の生徒の発言に私は驚きました。これまで学校や家庭でどうしていたのだろうと不思議に思いました。調理実習では役割分担のため、"皮をむく、切る"という作業の機会を逃すことがあるだろうし、家庭では料理の手伝いをする機会がないのかも、と様々な思いがよぎると同時に子どもたちの将来に不安を感じる出来事でした。

高学年で調理経験は7割

数年前本校の5年生児童にとったアンケートでは、「家庭で料理をする」、「時々する」と答えた児童は71%でした。そのうち約半数の子どもは「卵料理」や「カレー」といった、家庭科や野外調理で作ったことのある料理名を挙げていました。このことから、学校や地域での調理体験を増やすことは、家庭での調理の実践につながる大切な要素だと感じました。

好評だった親子料理教室

本校では、PTAや食進会、町健康課と栄養教諭が連携し行っている、年2回の「親子ふれあい料理教室」、「食育料理教室」を開催しています。どちらも調理実習が中心ですが、親子のふれあいや食の啓発もねらいの一つです。昨年の「食育料理教室」は、地場産物をテーマに開催しました。
栄養教諭によるミニ食育講座では、地元で作られている農産物や地産地消の良さについて紹介。実習では地場産物を使用した郷土料理「アチャラ漬け」を作りました。本県でお盆によく作られる料理ですが、今では作る家庭も減り、初めて作るという保護者も多くいました。

親子のふれあいの場に

作ってみると大好評で、ほとんどの保護者が「また作ってみたい」と感じられていました。料理教室全体の感想として、保護者からは"子どもとゆっくり料理をするのは初体験でした"、"子どもに包丁を持たせることができたのでよかった"、子どもたちからは、"みんなで作ると楽しい"、"家でもまた作りたい"と、互いのふれあいや新たな食経験を喜んでいるようでした。

豊かなコミュニケーションツール

このように、料理はコミュニケーションツールとしてとても大切な役割を果たしていると思います。先日、1歳半の姪っ子とグリンピースのさやむきをし、豆ご飯を作りました。姪はグリンピースが気に入ったのか「まめ」という言葉を言うようになりました。食への関わりが感性を揺さぶるのだと感じました。食を通して豊かなコミュニケーションが増えることを願いつつ、給食指導や日々の食育推進に努めていきたいと思います。

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