料理や食育は、まずお母さんが楽しんでほしい

3歳から包丁を握り、小学校3年生でクッキングコンテストのグランプリに輝き、その後もテレビチャンピオン等での活躍で知られているキッズ料理人の新倉こごまさん。大人顔負けの包丁さばきで母・ごまさんと二人三脚で料理をする姿を見た人も多いでしょう。姉妹のような関係で接しあい、母が切り盛りする和食店でお客さんと学校のこと、料理のことを笑顔で接客するこごまさん。新倉親子の食の原点は母・ごまさんの故郷・新潟県の佐渡にあるそうです。

新倉ごま・こごまさんの顔写真新倉ごま=1973年6月9日、新潟県佐渡市出身、趣味は居酒屋開拓、バドミントン。特技は家庭料理、ヒーリング。東海テレビ「天才の育て方TV」に出演。
新倉こごま=2001年10月1日 東京都出身、趣味は料理、バドミントン、絵画、特技は料理、絵画。将来の夢「立ち飲み屋を開くこと」。 書籍「川越達也×こごま 絶品コラボめし」(主婦の友社)、「こごまの舌」(扶桑社)、雑誌「小学四年生」(小学館)など多数

Q:ごまさんの故郷・佐渡で、子どもの頃の食体験はどのようなものでしたか。

ごま:今もなお自給自足のできる島です。川で天然の鮎を突いたり、畑では様々な野菜を育てており、私が子どものころは食材をほとんど買っていませんでした。素材の良いものを小さいころから体験し、鮮度の良い魚は目で見てわかる、そんな子どもでした。
私が10歳のころに母が亡くなり、まだ幼い弟がいたので自然と、祖母と一緒に料理を作るようになりました。そういった食体験からか料理関係の道に進んでみたいと思い、高校卒業後に上京して服部栄養専門学校に入学。特待生の制度で夜間部に在籍し、昼は仕事をしながら学生生活を送りました。
服部栄養専門学校はテレビや雑誌の撮影で使われることも多く、先生のアシスタントとして料理撮影に立ち会うこともあり、楽しい毎日でした。東京ならではの、料理の仕事があるということをこの時に知りました。

Q:ごまさんは料理の道へ進み、その後の転機はこごまさんの出産でしょうか。

ごま:料理研究家の検見﨑聡美先生に師事し、基礎を叩き込んでいただきました。請ける仕事がとても多い先生でしたが、当時アシスタントは私一人だったので毎日が5倍くらいの速度で進んでいたように思います。あの期間が今の私を作り上げました。
娘の出産後すぐ仕事に復帰することはできず、1歳くらいになってからでしょうか、バラエティ番組で料理に少し関わったことがきっかけとなり、フードコーディネーターとして独立しました。
お酒、特に日本酒が好きでしたので、2006年に世界きき酒師コンクールに出場したところ、ファイナルに進むことができました。現在、都内にお酒とお惣菜お店を出していますが、これがきっかけでした。

Q:妊娠、出産、育児で、食生活にも気を使っていたのでしょうか。

ごま:もちろん妊娠中はお酒を一切飲まなくなりましたが、食べたいと思ったものを食べていました。授乳中は野菜を食べてビタミンを摂ろうとか、カルシウム不足を実感したので煮干をかじったりしていましたが、娘が1歳くらいで仕事を少しずつ始めましたので、夫の母に預けていることも多かったです。子育ては、おばあちゃんや親戚などに甘えてもいいのではないかと思っています。子どもなりにその置かれた環境で緊張しながら、様々なことを覚えていくと思います。

Q:こごまさんは3歳から本物の包丁を持って台所に立ったそうで…危ないから、今日は時間がないから…と思う親が多いと思いますが。

ごま:子ども用の包丁もありますが、子どもは力がないので本物の包丁を使っても指を切り落とすような事故はほとんどないと思います。逆に切れない包丁は持ち方が身につかず危険だなと思うので、娘は最初からよく切れる包丁を持ちました。これは大正解で、正しい包丁の扱い方が身についたと思っています。

こごま:私は「○○ごっこ」ではなく、なんでも「本物」を体験したいと思っています。本物の包丁を持つことも、料理が好きだからやってみたいと思って最初から持っていますが、大きなケガをしたことはありません。

ごま:買い物や外食に行くと、娘に「この野菜はなんでしょうか」などとクイズ形式で野菜などの食材を見てもらいます。見て、食べて、香りをかいで覚えるようにしてきました。なかには見たことのない野菜もあり、繰り返して覚えるように食べながら楽しんでいます。佐渡に行くと自然なままの様々な形の野菜を見て、食べていますが、私は撮影用の料理の仕事もしているので、仕事の場合の美しい食材の選び方、見せ方なども同時に教えています。

Q:ごまさんは食育デザイナーという立場でも活動をされています。普段のこごまさんとのやりとりは食育と考えていらっしゃいますか。お二人にとって食育とは何でしょうか。

こごま:料理は母と一緒にやっていますが、栄養についてはまだよくわからない部分があり、学校で栄養士の先生が栄養について教えてくれるのはとても楽しいです。学校も楽しくてお店に入る前には宿題を終えていますし、バドミントンも2年間続けています。料理については好きでやっているので、大変ではありません。料理は一生ついてくるもので、やめようと思ってもやめられるものではないと思いますし、私にとって当たり前です。
今はほとんどお店の厨房には立っていませんが、料理を作る機会はたくさんあります。作ったときにおいしいと喜んでもらうことが何よりも嬉しいですし、自信がつきます。お料理はたくさんの種類があって数え切れないほど無限大。塩加減やさとう、はちみつなどでも味付けが変わってきます。麹菌や酵母菌に興味があるので、大学で醸造の勉強をすることが夢です。

ごま:目に見えて食育というように活動しているわけではなく、私の場合は娘を通じて食について伝えていくことが「食育」なのではないかと思っています。母親として意識的に教えているのは、包丁や箸の持ち方、箸置きの使い方など基本的なこと。こうやって切ったら味が染みるよなどと話しながら、一緒に料理しています。
この忙しいストレス社会の中で、働くお母さん方が「食育が大事だから」「毎日料理を作らなければ」と頑張らなくてもいいと思います。買ってきたお惣菜でも、お皿にきれいに盛り付けることで少しでも気持ちが豊かになればそれでいい…まずお母さんに楽しんでもらいたい、そう思います。その楽しい姿を見て子どもが育ちます。それもひとつの食育の形だと思います。
私は10歳の頃に母を亡くしたので、日々の生活は命あってこそだと実感しています。食べ物は心を豊かにし、うれしい、おいしいと思うことで病気にも負けない体を作ることができるのではないでしょうか。「病は気から」とよくいいますがまさにその通りだと思います。

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