食育は縦横の“連携”がキーワード

学校栄養士だった頃、地域に伝わる「太巻き祭りずし」作りを使って食育に努めていたそうです。学校・家庭と地域とのつながりを常に意識してきたと語る大河原先生が、これからの食育の進展のために学生や後輩栄養士に向けて語るキーワードは、地域や学校内の教職員も巻き込んだ横断的な“連携”です。

大河原悦子さんの顔写真大河原悦子(オオカワラ エツコ)
和洋女子大学家政学群健康栄養学類学外実習支援室准教授、管理栄養士。千葉年市川市内の小・中学校及び教育委員会で30年間にわたり勤務した。

Q:指導するのは将来どのような進路を目指す学生ですか。

本学の健康栄養学類は管理栄養士の養成が主な目的で、卒業生は行政、学校、幼児、高齢者施設、事業所、病院などあらゆる分野に、管理栄養士として健康指導の全般に関わっています。
最近は将来の就職先としては難しいですが、特にスポーツ栄養の分野が人気です。食事を通したスポーツ選手の健康管理をする仕事で、遠征先にも同行するなどしてサッカー・ラグビーなどのプロスポーツ選手、企業チーム、オリンピック選手など一流アスリートを支えます。

Q:授業では学生にどのような指導をしていますか。

栄養教諭専攻の学生には、授業の最初に、何のため、どんな子供を育てたいのかを問いかけます。食育の授業は知識を伝えれば済むものではない、授業で学んだ子供達が生涯元気で生活しようと思えるか、その切っ掛けにならなければならない。そこを教えるのが栄養教諭の使命感です。
学んだ知識をそのまま伝えることは誰にでもできます。今まで学んだ専門知識の引き出しを使って、子供達に食の大切さをどう伝えるかが、皆さんの仕事ですと指導しています。

Q:食育の定着には何が必要と感じますか。

すぐに成果が見えてこない食育は定着させることは難しい課題です。
食育は栄養教諭・栄養職員、養護教諭や給食担当者だけが指導するのではなく、校長から学級担任までの教職員全員が関わっていくものです。
しかし学級担任は、給食指導は大切だと理解していても仕事に追われ、給食中でもしっかり子供をみるゆとりがない現状です。食育の大切さを共通理解し、教科領域を横断しての取り組みができれば「点」から「線」「面」へ広げ定着させることができます。そして子ども達の生きる力になっていく。“連携”がこれからのキーワードです。

Q:学校間や家庭・地域とのつながりが必要ですね。

食育は、授業で学んだから身に付くというものではありません。正しい生活リズムと正しい食事を取り入れて食生活が改善されるよう、常に健康を意識しながら心身の成長と共にあるもの。保育園、幼稚園、小学校、中学校それぞれの年齢と成長にあわせたつながりの中で指導していくものです。
例えば幼児では遊びと睡眠とお腹がすくリズムの基本を身に付け、小学校では給食を通して食事や食材に関心をもたせる。中学校ではそれを発展して、自分自身の生活の自立を目指し、生涯健康的な生活が送れる子どもたちを育てる食育の充実が望まれます。
その為には、家庭との連携が不可欠です。

Q:栄養教諭・栄養士が食育のコーディネーターと言われます。

食育は学校の実態を把握して、目標と計画を作り、教職員全体で取り組んでいく。そのため栄養教諭・栄養職員にはリーダーシップを発揮して人を動かしていく力が求められます。
栄養教諭のみならず管理栄養士には、他職種との連携が必須で、人としての基本的なコミュニケーション能力を持っていることは欠かせません。

Q:学校現場ではどのような食育に取り組まれましたか。

千葉県には「太巻き祭りずし」という地域の伝統料理があります。きれいに巻きあがった時の感動は、いつまでも心に響きます。これを教材として各地域で、親子で楽しみながら作る活動を行っていました。地元の食材を使い、子ども達が考えたデザインを取り入れるなど新しい発想の食文化も楽しみ、地域の方々と連携しながら、食文化の伝承活動に取り組んできました。

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