学校給食は日本の食の最後の砦

学校給食にもっと“和食”を取り入れよう……和食の若手料理人が学校の栄養教諭、学校栄養職員と連携し、学校訪問やメニュー開発などに取り組む「和食給食応援団」(以下、応援団)が昨年度スタートしました。「日本人が食べてきたお米を中心にした食文化を守れる、最後の砦が学校給食」と語る応援団の事務局代表・西居豊さんから、取り組みの意義や栄養教諭、学校栄養職員への応援メッセージをうかがいました。

西居豊さんの顔写真西居豊(にしい ゆたか)
大阪府堺市出身。大学卒業後、マーケティング会社に入社。2009年8月31日に、地域活性化会社、合同会社五穀豊穣を設立。地域における特産品開発や地産地消の推進、観光客誘致に向けた企画などに取り組む。2011年より学校給食に生産者や料理人の出前授業を開始。年間60校の学校に訪問。2014年、農林水産省とともに和食給食応援団を設立。学校給食の和食化に取り組んでいる。2012年1月、朝日新聞社 AERAが選ぶ「日本を立て直す100人」に選出。2013年、2014年農林水産省 事業審査委員就任。

Q:応援団設立のきっかけとそこに込めた思いは何ですか。

前職で農山漁村活性化のために、各地域にある知名度が低くても付加価値の高い優れた食材を、世間に流通させる事業に携わっていました。そのご縁から学校給食にも関係するようになり、生産者と子供達が直接話せる機会が欲しいという声から、学校に農家や漁師さんを紹介するお手伝いをするようになりました。
その中で学校給食関係の皆さんから、給食で和食を取り入れることが難しい、白米は子供達から人気がなく残菜が多くなる、などの実態を知りました。私は母が大分の専業農家の出身だった関係で、子供時代には田舎に預けられ、農家の生活や米作りを身近に知っていました。「お米は一粒でも残すと目がつぶれる」と育てられたもので、ご飯を残すことが考えられなかったのです。
栄養教諭、栄養職員さんにもっと頑張ってほしい、もっと工夫すればおいしいご飯を提供できるのにとの思いがありました。そこで和食のプロである和食料理人の力を借りて、学校給食にもっと和食を取り入れて頂くため、私がお手伝いできるのではないかとボランティアで始めたのが応援団の原点です。

Q:給食の米飯普及率は高まりましたが、なぜ和食にこだわるのですか。

ある小学校の調査では朝ごはんを食べる子は90%。内訳はパン食が多く、晩ごはんもパンか麺類が多い。お米を食べる機会は学校給食以外にはほとんどないという子が増えています。全国平均で米飯は週3回程度ですから、そのうち白米を食べる機会は週1、2回です。せめて大切な食習慣の形成期にある幼小期には、日本人が大切にしてきた白米を食べて、和食の特長を知って育ってほしい。家庭での食事から和食文化が失われそうな現状を考えると、学校給食でしっかり教えることが最後の砦だと危機感をもっています。
玄米も含めて白米にお汁、主菜と副菜がつき口中調味できるのが和食の最小限のルール。毎食でなくても、できるところから取り組んで頂きたいなと思います。

Q:応援団の活動内容と目標は。

希望のあった学校に和食料理人が訪問して、その地域の食材を使い、その学校の栄養教諭や栄養職員と連携して学校給食に合う和食給食の献立や料理方法を開発してもらいます。そして先生や児童生徒、保護者にお話をしてもらう「和食講座」を今年度は全国28校で実施します。
また学校給食における和食の進め方が分からないという声を良く聞きます。和食給食を推進するためこれらの課題を解決しようと思い、和食調理人、有識者、学校給食関係者による「和食継承推進協議会」を設立し、今年度中には「和食給食の進め方」を確定し提起していく予定です。
おそらく段階的に指標を設けることになると思います。入口部分は広く誰もが取り組める段階にし、「一汁三菜、又は二菜」で主原料は出来る限り国産品を活用し、和食の調味料による味付けであることが最終段階になるといったイメージです。

Q:料理人の方々はどのように受け止められていますか。

ボランティアで始めた3年前、まず「賛否両論」の笠原将弘さんに相談し、その紹介で広がって現在は18人の協力を頂いています。皆さん若手ですが高い志を持たれ、地域や出身地の子供達と直接交流し、早くから和食を知ってもらえることに意欲を持って下さっています。
この様な機会をもっと多くして、子供達が和食に興味関心を持ち、和食料理人さんが子供達からあこがれの存在になってくれると嬉しいですね。

Q:栄養教諭・学校栄養職員に応援団としてエールを。

3点あり、まずは、児童の朝食・夕食、週末の食事を調べ、何を給食で出さなければならないか考えてみて頂きたいということです。都市部を中心に、児童がいかに和食を食べてないか分かります。学校給食が週5回のバランスで米3、パン1、麺1のバランスがベストバランスでないことが分かると思います。
2点目は、「限界を決めないこと」だと思います。何かあると教育委員会の決まり、衛生の問題、コストの問題、調理員の問題となってしまいます。しかし、必ず乗り越える方法はありますので、限界を決めずに取り組んで頂きたいと思います。
3点目は、一人で抱え込まないこと。食に携わる人間に悪い人はいないと思っています。皆様が熱意をもって訴えてくれれば、生産者も料理人も動かない人はいません。現に和食給食応援団は動き出しました。ぜひ、周囲の力も活用して、児童により良い食を出して頂ければと思います!

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