地域に貢献する教え子の成長と活躍が生きがい

近年では管理栄養士は人気資格の一つですが、活動分野や職務内容がよく分からず志望する高校生も見られます。仕事への理解を深めて志望してもらうため、卒業生16名の活動紹介を掲載したパンフレットを作成し、学校見学会などで配布しているという井川聡子先生は「管理栄養士は人の健康と命をサポートする、責任のある仕事です」。だからこそ、身体や健康への幅広い理解と知識が大切だと指摘します。

井川聡子さんの顔写真井川聡子(イガワ サトコ)
フェリス女学院大学英文科卒業後、再進学により管理栄養士取得。病院勤務を経て1989年から千葉県立衛生短期大学栄養学科で栄養士の養成に従事。2001年から現職。専門分野は栄養教育論、ライフステージ栄養学。共著に「栄養教育論」(医歯薬出版)他多数。日本栄養改善学会評議員。茨城県保健福祉部「健康づくり支援店」推進協議会座長、日立市元気ひたち健康づくり市民会議会長、日立市学校給食共同調理場運営審議会会長ほか。

Q:貴学や学生の特色はどのようでしょうか。

茨城県内の管理栄養士養成大学は現在3校ですが、開設は本学が最初です。入学者のほとんどが、管理栄養士の資格取得を目指していますが、家庭科、栄養教諭などの教員志望の学生も1~2割ほどいます。ちなみに県内初の男性栄養教諭は本学の卒業生です。
9割近くが県内出身者のためでしょうか、地元での就職希望が強い傾向があります。大学で学んだことを地元で活かす、地元に貢献できる人材を育成していると考えています。

Q:地元に貢献できる栄養士の養成で心掛けることは?

茨城は広い平野と山や海もあり、食材がとても豊富な地域です。茨城ならではの食材一つひとつの栄養学的特徴を理解して栄養教育や食育を行うことが必要です。栄養素レベルでの説明だけでは、一般の人々がそれを理解して実践するまでにつなげられないと思います。
最近は、理論で分かっても、実際の食品選択、料理への展開が不得手な学生が多いですね。実際に自分で作ってみることの大切さを、常々授業の中でも伝えています。

Q:学生達にはどのような思いで指導していますか。

専門ライセンスの取得は楽ではありません。でも頑張って取得すれば、そこには輝ける仕事の場があるのです。
管理栄養士は人様の健康と命をサポートする責任のある仕事ですから、食品や栄養学以外にも医学や薬学に関する知識も必要ですし、環境や運動、心理・カウンセリングなど学ぶことはたくさんあります。しかし頑張って学ぶだけの甲斐がある、人や地域に貢献できる仕事だと言うことができます。
私は教育の現場にいますので、子どもやお年寄りや患者さんに日常的に関わり指導することは出来ません。学生には、「教え子のあなた達が頑張って多くの人の健康をサポートしてくれること、それが私の生きがいです」という話をします。今後も努力と情熱を大切にする人材を育てたいと思います。

Q:10年目を迎える食育の今後についての提言は。

高校生の食育の充実が大切と考えています。ゼミの研究で県内の女子高校生の調理実態を調査したところ、家で料理を「全くしない」と「月に数回する」で8割にのぼりました。高校の家庭科での調理実習は平均で年間1、2回程度。高校生になると部活は一層ハードになり、一方でコンビニ・ファストフードを利用する機会が増えます。本当は食育の指導がより必要な時期なのです。
今後は高校にも栄養教諭の配置が必要と思います。小・中学校に配置されている栄養教諭、学校栄養士が、高校の部活の顧問の先生を対象に食育の講習会をすることも考えられますね。また、少子化が進む中、地域・コミュニティ単位での食育の充実も必須と考えています。

ページの上へ