栄養士コラム

第75回「食事摂取基準を活用した給食指導に取り組んで」

真嶋敦子

山形県遊佐町立遊佐小学校 栄養教諭

真嶋敦子

「先生、ありがとう。ちょうどよい量でした。おいしかったですよ」。給食を食べ終えて食器を返しに来た先生方が声をかけてくれます。「ああ、良かった」とほっとするひとときです。

データからクラス配分量を算出

4月の身体測定の結果から、個人毎の推定エネルギー量を求めて、クラス毎の配分量を決めて実施した初日です。 これまでは、給食の食べ残しを見たり、担任からの申し出によってごはんやおかずの量を少し減らしたり、増やしたりというようなことをしていました。

担任にも理解と協力を

そんな中、学校給食実施基準が一部改正され、新たに「学校給食摂取基準」が示されました。それを機に、本校の個人推定エネルギー必要量(EER)を算出し、学級単位の推定エネルギー必要量を算出してみることにしました。そこから適切と思われる主食やおかずの分量を計算し、各学級への配食量を決定しました。
担任には、個人毎のEER表を配布し、盛りつけ時の参考にしてもらうことを職員会議で共通理解しました。本校では、給食当番が配分した後、体調に合わせて量を減らしたり、増やしたりすることができますが、担任がEER表を参考に判断し、自己申告の調整を行います。きらいだからいっぱい減らす、すきだから山盛りにする、といったことがことがないようにするためです。

地場食材は県内トップクラス

遊佐町は地場産使用率が70%を越え、県内でもトップクラスの町です。米は特別栽培米「ひとめぼれ」を使用し、野菜は農家から直接納入されます。子供達は毎日新鮮な野菜やをたっぷりいただき、「給食を残すなんてとんでもない」と、配食された量は完食しようとがんばります。
だからこそ、適正量を提供してあげたいと考えています。調理師さんとも話し合い、計量や残菜調査に協力してもらっています。

欠かせない一人ひとりへの声かけ

個人のEERの算出には、様々なアセスメントが欠かせませんが、必ず把握しなければならない内容以外は、私自身の判断を交えて、試行錯誤しながら取り組んでいます。
あるクラスを回ったら、配分調整をしていた先生が「これぐらいは減らさないで食べてね。真嶋先生がみんなの健康を考えて決めてくれた量なんだよ」と言っているのを聞いて、気持ちが引き締まりました。これからも一人ひとりに適した学校給食を提供できるように頑張りたいと思います。