栄養士コラム

第136回「レバー食べレバ、鉄人になれる」プロジェクト始動

石井幸恵

千葉県旭市第一学校給食センター 栄養教諭

石井幸恵

市町村別豚産出額全国第2位(農林水産省:令和元年市町村別農業産出額(推計)から)の旭市は、全国有数の豚の生産地です。令和2年3月、肉の加工を行っている(株)千葉県食肉公社(旭市)担当者から、コロナ禍で豚レバーの消費が落ち込み、過剰な分が廃棄されているという話をうかがいました。「もったいない」というのが第一印象でした。

「もったいない」からはじまった新プロジェクト

食品ロスの軽減に加え、成長期の子どもたちの栄養補給、地産地消の推進、地域産業への理解、郷土愛の涵養の観点から、豚レバーを学校給食に採用することの可能性を感じ、新プロジェクトを立ち上げました。
その名も「レバー食べレバ、鉄人になれる」プロジェクトです。
子どもたちの抵抗感を減らすねらいから、レバーという名称を控え、レバー給食=鉄人給食とし、毎月1回取り組むことにしました。

個性的な味わいとの調和

個性的な味わいを、子どもたちにいかにおいしく食べてもらうか、栄養教諭としての腕の見せどころです。
第1弾は、ひき肉の1割を豚レバーに置き換え、「鉄人ミートソース」を提供しました。レバーを初めて食べる子どもが多いことから、豚レバーを隠し味として使いましたが、レバーがコクとなり、今までのミートソースより味わい深いものとなりました。

旭市学校給食センター特製「鉄人ソーセージ」

第2弾は、(株)千葉県食肉公社にオリジナルで作っていただいた「鉄人ソーセージ」です。1回目の試作では、レバー臭が強く独特の食感から決して万人受けするものではありませんでした。レバーの割合、塩分の制限、スパイスの配合、油脂の調整等を繰り返し行っていただき、3か月がかりで子どもたちにも自信をもって提供できるものになりました。
当日はホットドックの形で提供しました。子どもたちから、「レバーは苦手だったけど、ソーセージみたいな加工品になっていると、おいしかった」「いつものソーセージより、お肉の味を濃く感じた」といった声があがり、製造担当者とともに安堵しました。

持続可能な取り組み

豚レバーをおいしく食べているうちに不足しがちな栄養が補給でき、地域産業を知る中で、ふるさと旭を愛し、誇りに思うきっかけになればと思っています。今後も豚レバーの可能性を信じ、旭市の子どもたちが心身ともに鉄人になれるよう、メニュー開発に努めていきます。