栄養士コラム

第77回「子供たちの作った枝豆を給食に」

今井ゆかり

埼玉県草加市立西町小学校 栄養教諭

今井ゆかり

埼玉県草加市は東京に隣接しているため住宅地が多く、田や畑はそれほど多くないのですが、その少ない畑でたくさん作られているのは小松菜、枝豆です。草加市産の小松菜、枝豆は以前から給食に取り入れています。

農家から葉根付きを配達し教材に

私の勤務する西町小学校では、3年生が大豆の勉強をしています。私も豆腐づくりや、みそづくりの実習をお手伝いしています。また、給食に枝豆を出すときには農家にお願いし、収穫した枝豆を根つき、葉つきのままで配達してもらいます。枝豆の観察をし、学習をして、枝豆のさやを枝からむしって取る実習もして、それを給食室で塩ゆでにして給食に供しています。

幸運にも自校で栽培できる喜び

昨年、草加市から、「苗を無償で提供するので学校に枝豆の苗を植え、児童に栽培させませんか。校庭に場所を決めてもらえば農家の方に頼んで耕してもらいます」という願ってもないお話をいただきました。
「えー!いいんですか。ぜひお願いします」と即答をしました。しかも、どちらの農家にお願いするかは私が決めていいとのことでしたので、すぐにいつも枝豆を頼んでいる学区内の農家の方にお願いしました。
ところが。耕運機を持ってきて、校庭の隅の畑にしようとした場所を耕してくれた時です。
「先生、この場所はだめですよ、耕運機でも歯が立ちません」「なぜですか」「ここは笹の根がびっしりで耕すことができません」。そうなんです。私がお願いした場所は何年も前から笹の葉が茂っている場所でした。でも、学校には他に適当な場所がありません。困り果てていると、「先生、じゃあ、うちの畑を無償で貸してあげますよ」と農家の方が言ってくださいました。それは、とてもありがたいことです…でも甘えちゃっていいのでしょうか?
「いいですよ、使ってください。子供達のためですから」。校長にも相談して、ありがたく使わせていただくことになりました。

植え付けから収穫まで体験

5月の気持ちよく晴れた日に、3年生の子供たちが並んで農家の方の畑に行き、植え方を教えていただきながら畑の土に苗を差し込んでいきました。やわらかい畑の土の感触が手に心地よいらしく「気持ちい~い」「やわやわー」等と言いながら、子供たちはしばらく土の感触を楽しんでいました。
7月になり、今度は収穫のためにまた3年生は畑に行き、自分たちの植えた枝豆を大事に引き抜きました。学校に運んでもらい3年生が枝豆の鞘をえだからむしり、給食室で塩ゆでにしました。

新鮮な味と香りを楽しむ

全校児童が食べるには足りなかったので、農家が作った枝豆も足して、全校でいただきました。新鮮な枝豆はあまくて香りがよく、とても美味でした。まだ決定ではないのですが、来年はなんと全校分の苗を頂けるかもしれないということで、もっとたくさんの枝豆が収穫できそうで今から楽しみです。