栄養士コラム

第79回「こだわりの100%地場産給食」

本間ナヲミ

群馬県みなかみ町月夜野学校給食センター 栄養教諭

本間ナヲミ

みなかみ町の給食の特色は、地場産物の活用に力を入れ、生産者の方々、町の関係機関との連携を密にした取組を行っていることです。

町中の関係機関と連携

昨年度から始めた『丸ごと みなかみ いただきます!』は、みなかみ町産100%の特別給食を、町内全ての小・中学校、こども園で実施しています。この取組は、生産者をはじめ、町の関係機関(農政課、総合戦略課、観光課、子育て健康課、教育委員会等)と連携することで実現しました。
第1回(平成27年10月13日実施)は、黒毛和牛の手作りハンバーグをメインとし、みなかみ町のブランド米「水月夜(みなつきよ)」を組み合わせました。第2回(28年7月19日実施)は、「上州六穀豚(じょうしゅうろっこくとん)」にピリ辛ソースをかけ、夏野菜をたっぷり使用しました。第3回(10月3日実施)は、昨年度の全国学校給食甲子園で優勝した献立を全てみなかみ町産の食材で作りました。

郷土愛や感謝を育みたい

全国優勝した給食ということで、子どもたちはこの給食をとても楽しみにし、当日は給食を食べながら、みなかみ町で栽培された農産物について楽しく学ぶことができました。
日々の献立作成では、子どもたちに郷土を愛する心や感謝の心を育んでもらいたいと思い『食材は地元のものを中心に』使うことを心がけています。地域の食材をどのように献立に取り入れていくか、収穫時期などを考慮し、さらに生産者の方々、実際に調理を担当する調理員、食べる側の子どもの様子などを分析しながら立案をしています。

苦手食材も1年かけて克服

平素から『健康は人生の全てではないが、健康を失うと人生の全てを失いかねない』という先輩方の言葉を大切にして食育に取り組んでいます。子供たちには「自分の健康は自分で守れるように」、食を通して「心(人間性)もはぐくんでほしい」という思いで、何でも食べられる児童生徒の育成に力を入れています。
そのためには、健康なのが当たり前ではなく、とても大切だということに気づき、苦手な食べ物も自ら食べようとする意欲をもち続けられるようなおいしい給食づくりが欠かせません。例えば、豆が苦手な子が多いのですが、最初はペースト状のものを出して、次に少し刻んでミートソースに入れたもの、そして次ははっきりした味のチリコンカン、煮豆などと、1年かけて段階的に食材の形がわかるような献立を出していきます。
これからも地場産物の利用拡大に向け、献立の研究に取り組んでいこうと思っています。