栄養士コラム

第90回「実践力向上を目指し全会員がレポートで振り返り」

鈴木敏美

新潟県胎内市学校給食センター 栄養教諭

鈴木敏美

新潟県学校栄養士協議会は、平成18年度に「食べて 学んで 生きる力を 育みます」という、“わたしたちの食育推進宣言”を行いました。

熱い思い込められた食育推進宣言

その内容には、「1 安全でおいしくバランスのとれた給食作りをすること」「2 給食を生きた教材として、子どもたちに食文化や食事の大切さを伝えること」「3 子どもたちが自ら生涯にわたり健康な生活を送る力を育むこと」とあります。
これは新潟県の栄養教諭・栄養職員として、家庭・地域と連携して「食育」を推進していくことを誓ったもので、食育基本法が制定され栄養教諭制度が誕生した当時の「子どもたちの健やかな成長のために」という熱い思いが込められています。

レポートでの振り返りを10年以上継続

その年から、会員一人ひとりが、実践の振り返りをまとめることで資質の向上を目指した「マイテーマ・マイ実践」の取組が始まりました。学習指導要領に食育が明記され、県や市、学校の教育の重点に、食に関する事項が掲げられるようになったので、それに沿った取組をレポートとしてまとめることにしています。
原稿は所属校の管理職や研究主任に確認してもらい、指導していただきます。開始当初は何を書けばよいかわからないという声も聞かれました。10年以上継続してきた現在では、重点的に取り組んだ事柄や普段の業務で見直した点等をそれぞれが振り返り、A4版1枚程度にまとめることができるようになりました。

冊子にまとめテーマへの情報を共有

28年度の実践では、次のようなテーマがありました。
・図書室とのコラボ給食で、食材への興味・関心を高める工夫
・食育掲示板の活用
・養護教諭と連携しての「早寝早起き朝ごはん」指導
取組を文章にまとめ、振り返ることで、よりよい実践につなげていける力がつくと考えます。
会員の実践は毎年1冊の実践集にまとめ、会員の他、ご支援いただいている県市町村教育委員会等に配付しています。会員としては、手元にあることで自分の取り組みたい実践を行っている人がいないかを調べ、参考にすることができます。他の実践に刺激を受けて、同じ取組にチャンレジすることもあります。関係機関にも配付されることで、栄養教諭の職務への理解にもつながっています。

子どもに寄り添った食育の実践を

わたしたちの食育推進宣言から11年、今年も「マイテーマ・マイ実践」をまとめる時期を迎えます。一人ひとりの取組が、わたしたちの食育推進宣言のように子どもたちに寄り添った「食育」となっているかを心に留め、実践を積み重ねていきたいと思います。