第94回「連携こそ一人職のデメリット埋める」
栃木県日光市立大沢小学校 栄養教諭
星野純一
現在、子どもたちを取り巻く食環境は、大人のライフスタイルの変化に伴い、大幅に変化しています。その結果、肥満ややせ、偏食、朝食の欠食等が増加し、子ども自身の健康にも影響を与えています。
日々の指導は給食を生きた教材として
私たち栄養教職員は、子どもたちが自分自身の健康を自ら管理できるようにと、日々、学校給食を生きた教材として食に関する指導を行っています。私が勤務する日光市では、市内小中学校41校を12名の栄養教職員で分担し、食に関する指導にあたっています。
先輩栄養士から学んだ指導のノウハウ
私が勤務し始めた頃の学校栄養士の職務は、現在のように教科等で行う食に関する指導はほとんど無く、給食管理や栄養管理がメインでした。しかし、食に関する指導の実践の有無にかかわらず、担任から指導の要請があれば、初任者であっても一人前の学校栄養士としての力量が求められます。学校栄養士は一人職であるために、このような時は、近隣の学校の先輩栄養士の方から指導のノウハウを学び実践していました。この頃の私は、常に視線を上、つまり先輩栄養士の姿をみて学んでいた時代でした。
同世代とは学び合い高め合う関係
そして月日は流れ、子どもたちの実態も大きく変化し、学校栄養士の職務は給食管理・栄養管理だけではなく、教諭としての資質を磨くために、積極的に授業に出て指導をするようになりました。栄養教諭制度が創設され、食に関する指導が職務内容に加わりました。今まで頼りにしていた先輩たちも一人また一人と退職され、指導方法や研修内容等で悩んだ時は、同世代の栄養教職員とお互いの知恵を出し合い、情報交換を行いながら指導力の向上に努めました。この頃の私は、視線を横、つまり同世代の仲間と指導力を高め合っていました。
縦横の連携が子供たちに反映
気が付くと現在私は、市内の栄養教職員の中で年長者となりました。今後は、私が先輩栄養士から学んだように、後輩栄養教職員に経験から得た効果的な指導方法等について伝えていく時が来ていると感じています。
私たち栄養教職員は、一人職であるがためのメリット・デメリットがあります。そのデメリットを無くしていくためには、やはり栄養教職員同士の連携が不可欠であると思います。栄養教職員一人ひとりが、今の立場での縦横の連携を強めて職務に当たることが、学校全体、さらには市全体、県全体の子供たちの食に対する意識や行動の変容につながると思い、日々の職務に励んでいます。