栄養士コラム

第96回「You are what you eat. ~あなたはあなたの食べたものでできている」

高橋和子

長野県須坂市学校給食センター 栄養教諭

高橋和子

“You are what you eat.”「あなたはあなたの食べたものでできている」
この言葉と出会ったのは、10年以上も前になります。様々な和訳がありますが、シンプルな解釈が、すべてを語っているのではないかと思います。

これから何を食べていくのか

私たちは、発達段階に応じた摂取基準や地域食材をはじめとする、たくさんの食材を大切にしながら献立を考え、おいしい給食を丁寧に作ることを目標にしています。しかし結果として児童生徒が残してしまったら、私たちの「願い、想い」や「計算上の栄養価」も絵に描いた餅になってしまいます。だからこそ、自分に必要なものを「選ぶ力」「食べる力」をつけるための「食育」が必要になります。
「You are what you eat. 今まで何を食べてきたのか、これから何を食べていくのか。選ぶのは誰なのか」と、児童生徒、保護者に話しています。この言葉が広がって、人としての考え方、生き方につながっていって欲しいと願っています。

命をいただく教育につなぐ

須坂市では「早ね 早おき 朝ごはん 元気に育つ すざかっ子」を合言葉に、子どもたちの成長段階に合わせた食育計画を策定しています。市教委の「食育を、命をいただく教育につなげ、心を育てる機会のひとつとして実践し、命の大切さを学ぶ」という目標に向けて実践している2人の栄養教諭は、おかげさまでひっぱりだこです。

主体的・対話的・深い学びにするために

現在、学校数16校、食数4500食の学校給食センターに勤務しています。個々の実態把握は難しいですが、各校単位の把握や発達段階における「つける力」を検討し、学年ごとに計画的な食育授業を進めています。ブレーンストーミング等を取り入れながら、児童生徒が主体的に考えて意思決定できる授業を目指して、日々反省しながら進んでいます。

「中学で教わったよ」

卒業生が連絡をくれることがあります。最近、大学生の男の子から、今読んでいる食に関する本について、プロの感想を聞きたいというメールがありました。
“You are what you eat.”と返信をすると、「中学で教わったよ。頭で食べるとか、3か月前に食べたものでできているとか」と返ってきました。プロだと意識されていたことも嬉しいのですが、子どもが育っていく過程に立ちあえる仕事の楽しさを感じています。