栄養士コラム

第98回「調査研究がきっかけ、食生活の改善に効果」

板谷紀子
北出宏予

石川県津幡町立津幡小学校栄養教諭 
板谷紀子

石川県七尾市立七尾東部中学校栄養教諭 
北出宏予

私たちは(公社)全国学校栄養士協議会の平成28年度食に関する調査研究等に対する助成事業を受託し、「学校給食における栄養管理の在り方と食に関する指導」の調査研究に取り組みました。

個に応じた指導とは

中学校における給食の推定エネルギー必要量の平均は1食あたり840kcalですが、個別の摂取量は性別、年齢、体位、活動量、食べ方など様々な要因で異なっています。個に応じた適正量が配食できるように調整する対応はどうすればよいのでしょうか。また、肥満・やせ傾向の児童生徒に対して、学校給食を教材として、どのように個別指導を行っていけばよいのでしょうか。

一連の調査と改善と評価

そこで私たちは、
○養護教諭と連携して生徒の年齢、性別、身長、体重のデータから個別の推定エネルギー必要量と成長曲線・肥満度曲線を作成
○学校給食を教材として栄養量を知らせる取組、食生活等実態調査を実施
○肥満・やせ傾向や肥満度に急激な変化がみられるハイリスク者に対する個別相談指導
を実施しました。
対象は所属中学校の全生徒とし、評価は、食生活等実態調査を年2回実施し、前期と後期で比較し改善を図って生徒の体位変化を確認し、肥満、やせの状況の改善を目指しました。

養護教諭との連携が有効

まずは全教職員に「学校給食摂取基準」の考え方や個に応じた配食などについて、現状と今後の方向性について説明を行いました。全生徒の個別の推定エネルギー必要量を(公財)日本栄養士会「子どもの栄養食事指導・支援プログラム」を使用して算出しました。例えばA校では3学年を平均すれば基準値と差がなかったのですが、学年平均の比較では4月で120kcalも差があり、学年に合った栄養管理が必要であることがわかりました。個別指導において、養護教諭が作成した全生徒の成長曲線・肥満曲線は、適正な体重や成長状況の把握、肥満・やせについての経過の評価、そして指導資料としても活用し、非常に有効でした。
1年間、それぞれの中学校において取り組んだ結果、食生活等実態調査結果は各学校で朝食摂取状況、給食喫食で改善がみられました。また、個別指導を行った肥満、やせ傾向生徒の体位は適正に近づきました。