栄養士コラム

第105回「これからの栄養教諭・栄養士の皆さんにお伝えしたいこと」

野沢弘子

群馬県高崎市立高松中学校栄養教諭

野沢弘子

来年度、38年の勤務を終えます。皆さんも工夫して仕事をされていると思いますが、私が仕事の中で大切にしていたことをお伝えし、何かの参考にしていただければ幸いです。

作業工程表に基づいた、無理無駄のないタイムスケジュール作成

給食管理は、衛生管理を考えた調理手順や規模に合わせた献立作成を考えています。無駄な動きをしないで作業ができる作業動線を作成することはもとより、調理に関してはひと手間掛けた、おいしい給食作りの確立が大きなポイントになります。
栄養摂取量や食品構成にとらわれすぎると、作業が複雑になり、調理員の能力以上の作業内容になってしまいます。また施設の作業能力を考えて献立を作成することで、衛生管理を考えた安全・安心な給食作りができます。

食の指導は、実態把握と最新情報の活用を

児童生徒に食生活アンケートを行い、実態把握するとともに地域の様子、保護者の関心、教職員の理解も含めて、総合的に何が問題なのかを考えます。そして改善に向けて「食に関する指導の全体計画」を立てることが重要になります。
指導方法も常に新しい情報、新しい指導方法を取り入れることも大切です。新学習指導要領の主体的、対話的、深い学びを考えた指導方法のひとつである、知識構成型ジクソーの活用や、一枚ポートフォリオ評価なども取り入れます。また、関係機関から発行されている新しい指導案の活用などが、指導を円滑に行える手立てになります。

相手の立場や状況を考え、話し合いを密に仕事を進める

給食管理も食に関する指導も、人との関わりが重要です。
調理作業は調理のポイント、食材の性質をていねいに説明することで、調理員一人ひとりが料理完成のシミュレーションができます。個人差もありますが、おいしく、安全な料理作りをイメージしてもらうことが、仕事の達成感にもつながります。調理の打ち合わせの時間を大切にして、聞かれたら何度でも理解しやすいように説明します。
教職員には、食の指導をするにあたり、カリキュラムやスケジュールをチェックし無理のない時間設定を提示することで、快く指導時間をとっていただいています。そのために日ごろの話し合いを大切にしています。
栄養教諭として、子供たちが生涯健康で過ごせるよう、幅広い観点で「食に関する指導」をすることが大切だと考えています。