栄養士コラム

第112回「探究心を忘れず『ちゃんとつくる、ちゃんと食べる』の実践を」

増谷美栄子

兵庫県三田市立ゆりのき台給食センター 栄養教諭

増谷美栄子

「今日の給食、おいしかった!」とこぼれる声に、喜びと働き甲斐を実感します。給食は、食育の生きた教材となり、子ども達の将来の望ましい食習慣の基礎となります。

食べることが好きになってほしい

私は共同調理場に勤務しているので、給食管理や他校園の食指導のほかは毎日、給食時間に所属校に出向きます。「あっ、給食の先生!」「今日は何の話?クイズある?」と、毎日続けている“ちょこっと食育” を楽しみにしてくれています。「おちゃわん、ピカピカにしたい」という気持ちを受け止め、後押しをすることが大事な役目だと思っています。食べられた時の笑顔は何よりもうれしいことです。食べることが好きになってほしいと願っています。

クイズで楽しくおいしく食育

“食べチャオ!さんだ”は、市で展開する食育推進事業の合言葉です。給食から食の学びを深めてほしいという思いをこめています。学校・園、家庭、地域、関係機関と連携し様々な取組を行っています。
毎日の給食指導には、クイズ形式の「ひとくちおしゃべり」の資料を各クラスに配布し、給食ノートで学校・園と意見や感想の交換をしています。
また教科担当の先生方と連携し、市内の全園、小・中、特別支援学校の子ども達に絵手紙募集をはじめて7年目となりました。市内には13台の絵手紙ラッピングトラックが走っています。自然豊かなふるさとの食材を味わう喜びと楽しさを、絵と言葉で伝えるメッセージとなっています。

地域で給食センター体験やフェア

夏休みに親子で給食センターを探検し、給食の秘密をさぐる親子探検隊や給食試食親子体験を実施しています。大型調理機器にふれ、調理体験できる場、親子で給食を知り、味わう場となっています。秋には、食に関わる市や教委の関係課と連携し、食育フェアを実施し、食の体験や作品展示など給食の魅力と食育のよさを発信する機会となっています。

一歩ずつ前へ

魅力ある給食、楽しむ食育は、一人では実現できません。これまでの取組を生かしつつ、給食・食育に携わる方々と連携しながら、一歩ずつ前へ進んでいきましょう。
『ちゃんとつくる、ちゃんと食べる』は当たり前のことですが、大切にしている言葉です。挑戦する気持ちや探求心を忘れず、自分らしく続けていくことが、夢の実現につながると思います。食を通してすべての子ども達が心身ともに健康な生涯を送れるように、魅力ある給食、楽しむ食育をめざし、仲間と共に日々挑戦していきましょう。