栄養士コラム

第132回「地域の連携深めた『地産地消』の取組」

星野純一

栃木県日光市立大沢小学校 栄養教諭

星野純一

今では当たり前のように使われる言葉「地産地消」。スーパーには地産地消のコーナーが設けられ、直売所にはその時期に合わせて多くの新鮮な地元野菜が並びます。地産地消については、食育基本法にもその活用・促進が記載されており、私たち栄養教諭はその活用率を上げることを配置効果の1つとして、職務に励んでいます。(令和3年3月末記)

地元の産物使用率を高めたい

私の勤務する日光市でも、毎月18日の地産地消の日を中心に、市内産の旬の食材を給食に提供する「フレッシュ農産物利用促進事業」として予算をいただき、毎月1回食材を決めて献立に取り入れています。食の世界遺産「味の箱舟」に県内で唯一登録されている希少野菜「野口菜」(別名水掛菜)や市内産の「とちおとめ」を生地に練り込んだ「いちごパン」など、普段はあまりお目にかかれないものもあります。しかし月1回の使用では、イベント的にはよいのですが活用率を上げるには足りないのが現状です。

さらに市内全体に広げるために

そこで地元野菜を給食に取り入れるために、近隣の栄養教諭と連携し、納入できる農家の方を紹介してもらったり、地元野菜の納入に積極的な納入業者に相談したりして、少しずつ活用率を上げていくことができました。しかしこれはあくまで自分の学校だけのことで、市全体の活用率を上げることにはなりません。

関係者が互いに理解しあう

そのような時、市農林課で申請した「地産地消コーディネーター派遣事業」が決定し、地産地消の更なる活用に向けた大きな一歩が踏み出されました。会議では地産地消コーディネーターを中心に、行政・生産者・納入業者・直売所・栄養士等が一堂に会し、給食における地元野菜の活用が進まない課題を洗い出しました。このように意見交換をしたことで、今まで分からなかったお互いを理解することができました。そして、そのお互いの理解が連携を生み、前年度9品目だった地元野菜の食材が、今年度は15品目までに増え、給食に取り入れることができました。

情報共有の大切さを痛感

私たちが行う食育は、さまざまな立場の関係者と連携し取り組むことで、その効果を発揮するといわれています。そのためには、各関係者の立場を理解し、お互いの情報を共有することが大切だと、今回の事業を通して痛感しました。私たち栄養教諭も学校・家庭・地域と連携した食育が実践できるようにコーディネーター役としての力を発揮していきたいと思います。