栄養士コラム

第133回「地域への愛着育む地場産物献立」

久保田由美子

静岡県島田市立中部学校給食センター 栄養教諭

久保田由美子

島田市は地場産物を活用した学校給食を、食に関する指導の一つの柱としています。茶・小松菜・とうもろこし・さつま芋・椎茸・ブロッコリー・みかんなど、四季折々の地場産物を盛り込んだ年間献立計画や地場産物カレンダーを作成し、計画的に献立に取り入れています。天候により、地場産物には虫が多くついていたり、形がいびつなこともありますが、調理員さんたちも理解を示し、手間をかけて調理してくれます。

「具だくさん島田汁」は食育の象徴

地場産物を使用した献立は、給食時間の校内放送で紹介したり、生産者マップを掲示したりして、子どもたちに関心を持ってもらえるようにしています。また平成30年からは、地場産物をより身近に感じてもらうため、「おしまちゃんランチ」を月1回実施しています。これは島田市で採れた野菜を使ったおかずと「具だくさん島田汁」を組み合わせた献立です。
「具だくさん島田汁」というのは、平成22年に策定された島田市食育推進計画(第1次計画)の中で、野菜をしっかりと摂り栄養バランスが取れた食生活の実践を目指す市の食育の象徴として提唱されたもの。市が「具だくさん島田汁」を取り上げ、家庭への啓発やイベントでの周知に取り組んできたこともあり、今では市民に愛される料理となっています。これまでに「おしまちゃんランチ」として提供した黒はんぺんのお茶フライ、きゅうりのひたひた(鰹節を入れた和え物)、具だくさん島田汁などの料理は、児童生徒のリクエストにも上がる人気メニューとなりました。

新たな取組「地場産物川柳」に期待

昨年度はコロナ禍により、毎年6月の「ふるさと給食週間」と1月の「学校給食週間」に行ってきた生産者さんによる給食時間の学級訪問を、残念ながら断念することになりました。一方で、需要が減少した県内産の牛肉・虹ます・うなぎ・あじ・真鯛・いちご・クラウンメロンを学校給食用に提供していただき、新たな食育の機会とすることができました。栄養教諭から静岡県で生産されている農畜水産物について説明を聞いた子どもたちは、「そんな風に育てられているんだ」「大切に食べなきゃね」と生産者さんたちに思いを馳せ、愛おしそうに食べていました。
今年度は新たな取組として、「地場産物みーつけた!島田川柳コンクール」を実施する予定です。どんな作品が集まるか今から楽しみです。これからも地場産物を活用した学校給食をとおして地域への愛着を育み、食への興味関心を高めていきたいと考えています。