栄養士コラム

第151回「給食を通してふるさとを見つめる」

坂井恭子

鳥取県日野町立根雨小学校 栄養教諭

坂井恭子

本校は山々に囲まれ自然豊かな環境にあります。ありがたいことに給食では、地元で栽培された米を中心に、野菜や味噌など地元産の食材をたくさん使用することができます。本校の学校教育目標「ふるさとを愛し 心豊かに たくましく羽ばたく 日野の子の育成」に向けて学校全体で取り組む中、給食においてもこの目標を達成すべく献立作成や食に関する指導の推進に日々取り組んでいます。

給食を通して地元を知る

毎月食育の日は、「ふるさとの味食べようDAY」として、日野町の郷土料理や特産品をふんだんに使った献立を実施しています。本校の児童は、給食をよく食べ残菜率は0.5%にもならないほどです。何でもよく食べる児童はとてもたくましいのですが、地元で採れる食材への関心は低く、恵まれた環境が当たり前となっています。そこで、食育の日には地元食材を意図的に取り入れることで、児童に地元食材の良さを伝えるようにしています。

「鮎」を食材に生活科とも連携

令和3年度からは、町の食育の取組として、通常ではなかなか出すことができない「鮎」を7月の給食に取り入れています。本町を流れる日野川では、夏になると鮎釣りが解禁となります。以前はたくさんの鮎を釣ることができましたが、川の環境の変化で年々数が減っています。
児童は、生活科の学習等で日野川の生き物について学習しています。給食で鮎を出すことで、特産品としての理解だけでなく、私たちが住む地域の環境にも目を向ける機会としています。

新たな特産品で町を元気に

日野町では、一昨年から町の新たな特産品として青パパイヤの栽培が始まりました。青パパイヤが栽培されるようになった背景には、耕作放棄地の増加や高齢化により生産者が減ったことなどがあります。
5年生では、社会科や総合的な学習の時間を通して日野町の農業について学びます。生産者の思いや取組内容について調べ、魅力的な町にするための工夫を考えています。給食では、5年生が収穫した青パパイヤを使ってサラダやかき揚げなどを作り、町の特産品のよさをPRしています。

地元の魅力を発信できる人に

給食を通して、日ごろ当たり前のように食べている食材の素晴らしさだけでなく、恵まれた自然環境や地域の人の思いを伝えていきたいと考えています。子どもたちが大人になって、生まれ育ったこの町のよさについて自信をもって伝えられる、さらに活気のある日野町になる。そんな日が来ることを楽しみにしています。