栄養士コラム

第152回「最先端の取り組みと積極的情報発信」

滝浪永梨

静岡県立富士特別支援学校 栄養教諭

滝浪永梨

本校は地場産物や有機野菜、有機食材を使用した学校給食の提供を行っています。また、授業の中でも有機農業や食品ロスなど、SDGsを意識した学習や、地元の自然環境や特産物についての学習を行うなど、学校給食と食育を基本に据えながら、地域社会との連携を重視した食育活動を行っています。

静岡県の良さや栄養教諭の取り組みを全国へアピール

第16回全国学校給食甲子園では、静岡県で初の特別賞を受賞しました。県下の中でも新しい取組を率先して実行し、保護者や生産者などとの交流を通して活動を社会へ広げ、浸透させる努力をしてきました。その手段として積極的な情報発信を行い、HP・新聞・テレビ・ラジオ・セミナー・地域情報誌などで広報することを重視してきました。

地域と連携した食に関する指導

小学部は富士市岩本山のみかん農家の協力のもとに、毎年みかん狩りを行っています。栄養教諭がみかんの栄養についての授業を行い、その後児童が収穫してきたみかんを給食に提供しています。
中学部では、地元の茶農家を講師として招き、お茶のいれ方、ほうじ茶作り、お茶の栄養についての授業を行いました。給食でも地元の茶畑でとれた静岡茶を使用しており、食育メモや生徒会によるお昼の放送を活用し、お茶の知識を児童生徒に伝えています。生活単元学習では、富士市・富士宮市の特産物であるニジマスやシラス、牛乳などを調べるため、栄養教諭が特産物について授業を行ったり、生徒が地元の養鱒場や牧場の見学に行ったりしました。授業で学んだ特産物を同じ時期に給食でも提供することで、さらに理解が深まるようにしています。
高等部は地元農家の協力のもと持続可能な農業に取り組み、有機野菜を育てています。収穫した野菜は給食で使用したり、地域で販売を行ったりしています。コロナ禍前は野菜作りでお世話になった方々と生徒が会食を行ったりして、感謝の気持ちを伝えて楽しい授業を展開できました。

多職種多機関との連携

富士圏域障害児施設連絡調整会議では、栄養士、調理員、教員、保育士、歯科医師などの関係者が集まり、栄養管理に関わる共通課題を検討しています。直近3年間では、「偏食が強い園児・児童・生徒への対応について」というテーマで活動を行い、事例集を作成しました。また、本校での偏食に関する取組については、第14回静岡県小児摂食嚥下勉強会で発表しました。