栄養士コラム

第164回「毎月31日『国際理解の日』が生徒の心待ちに」

中村久美

静岡県三島市立北学校給食共同調理場 栄養教諭

中村久美

私の所属する学校では、31日を『国際理解の日』(「こくさい(31)」の語呂合わせから31日に制定)とし、様々な取組を実践しています。その発端は、ロシアによるウクライナ侵攻が始まり「わたしたちが世界の出来事に関心を持たないといけないのでは?」という学習委員会の意見からでした。

世界に関心を持たせたい

学習委員会が「どうしたらみんなが世界に関心を持ち、意味のある活動になるか?」を熟考し、そこで注目されたのが、全校生徒が同じ料理を食べる「給食」でした。これまでは世界の料理を毎月ランダムに出していましたが、31日の国際理解の日に一つの国の料理を提供し、その国について学習委員会が掲示物を作成する「掲示と食のコラボレーション」が開始されました。 取組は昨年度5月から始まり、ウクライナ(ビーフストロガノフ)、中国(青椒肉絲)、アメリカ(バッファローチキン)、韓国(ビビンパ)、フランス(キッシュ)、タイ(ガパオライス)等の料理を提供しました。

給食から掲示物、読書活動に拡大

これに合わせて、給食委員会は昼の放送時に、その国の食文化や料理名の由来、エピソード等を紹介し、一層その国を身近に感じ、関心を持てる取り組みを始めました。これらが浸透し始めると、図書委員会からも活動に参加したいとの申し出があり、取りあげた国の関連書籍を集め、目立つところにディスプレイし、生徒が手に取りやすい環境が整いました。保護者による図書ボランティアの活動でも「国際理解」「平和」に関連した本の読み聞かせを実施していただきました。生徒たちからも「次はどの国なのか楽しみ!」「国際理解の企画に携わりたい」等といった声があがり、2年目の現在もこの活動は定着しています。 献立表に「世界を知ろう!ワールド給食」と明記することにより、保護者にも関心を持っていただき「我が家でも作ってみました」、「外国料理のお店に行ってみました」等、家庭を巻き込んで行われる「異文化理解」「国際理解」のうれしい反応も見られるようになりました。

学校が連携し地域も巻き込む活動に

学習委員の意見を発端に、学校全体、さらには地域を巻き込んでの活動が生まれました。特別なことはせずに、通常の活動に「ひと工夫」や声を掛け合っての「連携」をすることで多面的な活動となることがわかりました。目・耳・舌で世界の国々の文化を学び、子どもたちのアンテナは高まっています。