栄養士コラム

第169回「毎日の給食からできる食育を」

髙橋澄子

埼玉県所沢市立第1学校給食センター 栄養教諭

髙橋澄子

所沢市立第1学校給食センターでは、小学校9校、中学校6校の約7550食を提供しています。スープ・汁物は、大きな蒸気釜9つを使い、出来上がりの総量は約1800ℓになります。カレーやシチュー、ラーメンなどの時は2000ℓで、重さは2トン近くにもなります。

調理員51人、運転手7人、栄養士6人で約7550食

主菜は唐揚げ、磯辺揚げなどの揚げ物と塩焼きや照り焼きなどの焼き物を人数分、加熱調理します。副菜はサラダや和え物、ひじきの炒め煮や五目豆などを2種類、約160㎏ずつ調理し配缶します。運転手は学校ごとのコンテナーに食器かごや料理の食缶を載せて、大忙しです。

有機、地産地消を心がけ

子どもたちの健康と安全のため食材は厳選しています。ウインナーやベーコンは、着色料や保存料などの不必要な添加物を使っていないものを選ぶので、ピンク色ではなく、食材本来の色です。だしも鰹節削りパックから煮出してとり、美味しいです。
地産地消を考え、所沢市で取れた野菜を心がけて使います。地元農家や農業協同組合の協力のおかげで、所沢産の里芋・小松菜・長ネギ・ほうれん草・人参を使っています。また市農業振興課の協力で、有機栽培の人参を届けてもらうこともできました。有機栽培の人参は色と味が濃かったのですが、継続的に使用するには価格と配送が課題です。

子ども達からもらう「ありがとう」

コロナ対策で前向き・黙食だった給食から、グループで賑やかに食べるいつもの給食風景が戻っています。給食時間の学級訪問で「今日の給食はこれが特別で…」と話しかけることで、子ども達には「価値ある給食」になるのではないでしょうか。 「調理員さんが一生懸命に作ってくれた」「農家さんが丹念に育ててくれた」など、大勢の方の善意があることに気づいた子ども達は、給食を残すまいとしっかり味わって食べてくれます。そして笑顔で「今日も給食をありがとうございます」。この言葉をいつも私が一番に受け取ってしまって、申し訳ないなぁ…と仲間を思い浮かべながらありがたく頂戴します。
所沢市では4月から牛乳パックがストローレスパックへと替わり、ストローを使わずに飲む児童生徒が少しずつ増えてきています。食育をはじめ、食品ロスや環境への負荷を減らすことなど、毎日の給食からできることを校長先生や食育主任などの理解と協力を得ながらすすめています。