栄養士コラム

第170回「子ども達の安心こそ最高の評価」

福岡ちづる

熊本県八代市立第二中学校 栄養教諭

福岡ちづる

2023年1月に「養護教諭及び栄養教諭の資質向上に関する調査研究協力者会議議論のとりまとめ」が公表されました。議論を読み自分なりに解釈して、また研修等でも幾度となく栄養教諭に言われているのは「(栄養教諭でなければ実施できない業務について)栄養教諭本人の自覚も十分に進んでいるとは言い難い」、その結果「児童生徒からの認知度も高くない」ということでした。

栄養教諭・栄養士は一人職

食の指導に力を入れれば「調理場は大丈夫なのか」と言われ。事務処理をしていると「調理場はこんなに忙しいのに」と促され、調理場で頑張れば「学校での指導を全くしていない」との評価です。栄養教諭は一人職種なので、調理場とも学校とも職務の時間の流れが違う環境の中、時間配分に工夫しながら対応しているのが現状です。
しかし、求められる栄養教諭像と実務には差があると感じます。もし栄養教諭としての自覚が乏しいと判断する者がいるとすれば、管理者が栄養教諭の職務を理解し、指導するべきではと思います。

生徒は日々の給食を楽しみに

フツフツとした思いの一方で、子ども達は毎日の給食を楽しみにしています。日々の感想を言い、献立表をチェックしている姿はほほえましく、生徒が作った折り紙を食育コーナーに掲示すると、次は何を作ろうかと担任に自慢げに話すとの情報が入ります。これらは栄養教諭としてやり甲斐に繋がっています。
私たちの勤務環境は異動によって築40年から新設センターまで様々ですが、地域や調理場の条件に対応し、献立作成、食の指導をしています。
どのような環境でも、毎日、給食時間に学校に行き、子ども達がどのような様子で食べているのか巡視しています。職員室にいられるのは1時間程度ですが、その間に児童生徒の話から雑談まで、先生方と様々な話をしています。ある先生から「子どもたちは、福岡先生の給食を安心して食べている」と言われたことがあります。何気ない言葉ですが、栄養教諭にとって深い言葉であることを理解していただけると思います。

信頼感をどう数値化するか

子ども達からは信頼されている栄養教諭のつもりですが、その他に信頼されていないとしたら、どのような展開が必要なのでしょう。長年に渡りその時代に合わせて、実践記録を書いてきましたが、最終評価は常に「数値による検証が乏しい」と言われます。「福岡先生の給食は安心する」をどのように数値化するのか。別の観点で数値化すれば、認められる栄養教諭になるのか。
食は奥深いだけに、難問ですが立ち向かうしかないと、資質向上に努めているところです。