栄養士コラム

第174回「小さなことの積み重ね」

木村雪乃

青森県五所川原市立学校給食センター 栄養教諭

木村雪乃

五所川原市立学校給食センターは、小学校10校、中学校5校の3350食(アレルギー対応食を含む)を、栄養教諭1名、学校栄養職員2名、市職員の管理栄養士3名、調理・配送を委託して給食を提供しています。また、少し離れた小学校1校、中学校1校の単独校でも市職員の栄養士1名と調理員達で提供しています。給食センター受配校は、一番近い学校は、所属校で給食センターから約850m、一番遠い学校は約12kmという距離があります。

転勤で新人のように

前任校は、給食センターといっても渡り廊下でつながっている小学校と、車で5分ほどの距離の中学校の2校という小規模な所でした。そこから現在の大規模センター赴任1年目は、やっていけるのか不安でいっぱいでした。
それでも、給食管理については、周りの人たちに助けられ、時間がかかりながらも慣れていくことができました。栄養教諭としてのもう一つの職務である食に関する指導に関しては、学校数が多いため指導に行くことが目的になってしまい、事後の見とりや継続的な指導を行うことができていませんでした。

気持ちを新たに

このままでは、栄養教諭の存在意義がなくなってしまうと考え、赴任2年目は学級訪問の時間を増やすことから始めました。所属校といっても車移動が必要な距離でしたが、食に関する指導の後や、地元食材を使った給食時間、学校行事などに合わせて、できるだけ学校へ行くようにしました。
授業後子どもたちに、「今日の学習でのめあてができているか、後で見に来るよ」というと、「今日来てほしいな」と言ってくれます。学級訪問することで、学習内容の定着ができていることが確認できるうえ、「いつもおいしい給食ありがとう」「給食、完食できるようになったよ」と、うれしい言葉をかけてもらえます。そんな言葉が聞けるのは、学級担任が、普段から給食の話題や食に関する指導の振り返りをしてくれていることも大きな要因となっています。それ以外にも学級担任とは、給食や家庭での食事の様子などの情報を共有することができ、次の指導につなげられています。

保護者と共に子どもたちの健やかな成長目指したい

現在は、所属校の学級訪問がメインとなっていますが、食に関する指導や個別的な相談指導への取り組みなども充実させ、子どもたち自らが、食や健康について考えることができるようになってほしいと思っています。
また参観日や試食会などを通じて、保護者や地域の方にも食や健康の専門家である栄養教諭を知ってもらい、一緒に子どもたちの健やかな成長を目指していきたいと思います。