栄養士コラム

第175回「伝統的な食文化を伝える学校給食」

崎浜あづさ

沖縄県那覇市立天久小学校 栄養教諭

崎浜あづさ

沖縄県は長寿県復活に向け「2040年までに男女とも平均寿命日本一」を目指し取り組んでいます。そして「食」を通して子どもたちの心と体を育てるのが学校栄養士の役割です。

毎日の積み重ねが健康につながる

学校給食は生徒1人あたりの栄養摂取基準量が決まっています。家庭で摂取しにくいカルシウムは給食で1日の摂取量の半分を、野菜は40%を取れるようになっています。逆に現代人が摂取過多になっている塩分は1食2gです。基準量に合わせるため、だしや素材の味を利用するなど工夫しています。「給食は味が薄い」と言われますが、児童生徒に基準となる味や、だしや素材本来の味を覚えてほしいという狙いもあります。
子どもたちが将来にわたって健康で幸せに過ごすことが学校給食の最大の目標です。今日、明日完食したら明後日に何かが変わるというものではありませんが、日々の指導の積み重ねが子どもたちの体をつくり、知恵にもつながっています。

毎月第3木曜日は「琉球料理の日」

給食は子どもたちの体を作るだけではありません。生きた献立教材と言われ、1食ごとに目的があります。文化振興の取組として、毎月第3木曜日には「琉球料理の日」を実施しています。その日は琉球料理を提供し、献立に関する給食指導や資料等を配布しています。例えば10月には、旧暦の9月7日に行われる「カジマヤー」(数え97歳の長寿を祝う)の日にちなんで、沖縄の伝統文化を伝えるためお祝い料理のイナムドゥチ、クーブイリチーなどを献立に入れました。他にも各地の学校で季節や行事、地域の伝統などを意識した献立が工夫されています。

手間をかけても伝統野菜を伝承

伝統野菜について伝えていくことも私たちの役割だと考えています。ゴーヤーは捨ててしまいがちなワタに栄養があることを教わってから、ゴーヤーンブシーを提供する際には種を取り出したワタも調理しています。手間は掛かりますが、大事なことだと考えています。