栄養士コラム

第177回 担任や養護教諭と連携した『個別指導』

瀬ノ上瑠美

宮城県大崎市立古川第二小学校 栄養教諭

瀬ノ上瑠美

宮城県の北部、広大な大崎平野に囲まれた自然豊かな場所に大崎市立古川第二小学校があります。大崎市では、地場産給食の日を設け、豊富な農産物を活用した学校給食を実施しています。

給食を食べる姿間近に見られる喜び

学校の中央に給食室があり、子どもたちは給食の香りにつられて給食室をのぞきにきます。廊下に掲示されている、児童が選んだ『古川第二小学校のいいところ』第1位に、「給食がおいしい」が選ばれました。
また1月に行った給食まつりの取組の一つである「感謝の手紙」には、1年生の時に給食をほとんど食べられなかった食物アレルギー対応の3年生の男の子から、1枚の紙に書き切れないほどたくさんの「ありがとう」をいただきました。
給食を食べる姿を1番近くで見ることができ、食べられないものが食べられた瞬間に出会えるのも、小学校で働く栄養教諭の醍醐味です。

食の個別指導には時間が必要

近年、栄養教諭に求められる職責の一つに、個別的な相談指導があげられます。幸い、学校の中に栄養教諭がいるため、保護者の方からも個別相談をお受けする機会があります。
偏食や肥満の指導は改善するまでに時間を要し、一人ひとりに合ったアプローチの仕方を見つけることも難しいため、介入するまでに足踏みすることもありました。それでも、日常の給食管理業務や食育の授業をしながら、何とか学級担任や養護教諭と連携する時間を確保して少しずつ個別的な管理を続けています。

保護者とも連絡帳で情報共有

そんな中、今年から見守りや声掛けを始めた児童がいます。その子からは、なんと数ヶ月でもう大丈夫といった声が聞かれ、連絡帳で保護者の方と喜びを共有できたことは、言葉では言い表せない素晴らしい経験でした。この出来事を通して、栄養教諭として目の前の子どもたちが食事と向き合い、将来自分の体をしっかり管理していくことができるようサポートしていくという信念を忘れてはならないと改めて思いました。

夢をかなえた教え子が励み

栄養教諭になって1年目のある日、「私も栄養教諭になりたいです。どうすれば良いですか?」と言って一人の小さな女の子がノートを持って私の席にきました。次の日には、そのノートいっぱいに、自分で調べたことを書いて見せにきてくれました。
今、女の子は夢をかなえ、栄養教諭として子どもたちの前に立ち指導をしています。その姿は、私の原動力になっています。子どもたちを取り巻く環境は様々で、健康課題も山積みです。自分の無力さを痛感させられる日々ですが、これから栄養教諭を目指す人たちに恥じない働き方をしていきたいと思っています。