栄養士コラム

第179回 『食』に興味・関心をもたせる工夫

戸羽美希

宮城県川崎町立川崎学校給食共同調理場(川崎中学校所属) 栄養教諭

戸羽美希

私が令和6年度から勤務している宮城県川崎町は、宮城県の南西部に位置し、蔵王連峰を望み、水がきれいでお米が大変おいしい町です。町内には5校の小・中学校があり、子どもたちは自然豊かな環境の中で、のびのびと活動しています。

「子どもたちは、食に興味・関心がない」

この言葉は私が異動してきてすぐの頃、所属校の職員室で聞こえてきた言葉です。 川崎町の子どもたちは、食(給食)に対して興味がなく、残食がとても多い地域だというのです。確かに年度当初は、メニューによっては40%以上残ってくることもしばしばでした。
そこで子どもたちに食(給食)に興味関心をもってもらえるような「しかけ」はないものかと検討しました。

自分が考えたメニューが給食に

栄養教諭が町内の小・中学校で行う食に関する指導や、特別活動での指導の際、児童・生徒に給食の献立を考えさせる活動を取り入れました。そして子ども達が考えた献立を実際の給食で提供しました。児童・生徒が考えた給食は年間20回以上となりました。
また授業で使用したワークシートの余白に、リクエスト献立を記入させ、それを給食に随時取り入れました。
給食だよりや毎日の栄養教諭からのメッセージ、調理場公式のSNSにはその旨を掲載し、学校の教職員、子どもたち、そして保護者へ情報発信を行いました。
給食に採用された児童や生徒からは「自分の考えたメニューが給食に出てうれしかった」、「また自分たちが考えた給食を出して欲しい」という感想がありました。教職員からもこの取組は好評で、「子どもたちが栄養バランスや彩りまで考えて献立を考えられることはすごいですね」、「卒業生が考えたメニューを見て、成長を感じてうれしかった(小学校教職員)」、「授業中にも子どもたちから給食の話題が出るようになった」等の声が多数届きました。

自分にもうれしい取組

児童・生徒考案の給食は残食も少なく、この取組を一年間続けたところ、年度末には残食率1桁のクラスが多くなりました。
自分では思いつかないメニューや組み合わせが次々に出てきて私自身の勉強になりますし、新たなレシピが増えるといううれしい取組になっています。
今後も、栄養バランスがとれている給食であることはもちろんですが、子どもたちの楽しみになるような、興味・関心をもてるような魅力的な給食を提供できるよう、試行錯誤ながら日々の業務に取り組んでいきたいと考えています。