栄養士コラム

第180回 可能性を実感したオリンピックイヤーの取組

田中あゆみ

北海道札幌市立手稲東小学校 栄養教諭

田中あゆみ

私が勤務する札幌市内には約300の小・中学校があり、そのうち約160校に給食調理室が併設されています。調理校では受配校分も調理をし、配送を行っています。本校は2校分合わせて約970食の給食を毎日提供しています。

昨年は世界の料理給食

昨年はパリオリンピックにちなみ、月に1回『オリンピックイヤー 世界味めぐり』と題して、世界の料理給食に取り組みました。その国の名物料理や食文化、観光名所や簡単なあいさつの言葉を5分程度の動画としてまとめ、給食時間にTVで放送し、学級で視聴してもらいます。受配校へは、グーグルクロムのクラスルームを通し動画を配信しました。

この日の給食は『イタリアメニュー』

給食時間に教室訪問をすると、ついさっき見たばかりの動画で覚えたあいさつの言葉を使い、子どもたちが声をかけてくれます。
「チャオ!」、「今日もボーノだね」などと言いながら笑顔で話しかけられると、私もついついうれしくなって『グラッツェ!』と笑顔で返します。
「イタリアメニュー」といっても、内容は「パスタ」やバジルを使ったポテト料理など、普段使っているレシピを組み合わせたものですが、やはりイベント化することで、子どもたちにとってはグッとスペシャルなメニューになります。

教科との連携も視野に

月末に給食だよりを配布すると、来月はどこの国?と聞かれるようにもなり、これは手を抜けないな…と動画作成にも力が入りました。外国語の授業では、6年生が「田中先生にお気に入りの国を紹介しよう!」と英語でプレゼンをまとめてくれたり、給食週間中に届いた感謝の手紙にも「世界のことをもっと知りたくなりました」といったコメントが書かれていたりと、給食時間の可能性を実感した取り組みになりました。
今年3月の「インド」で世界の料理給食は一旦終了しましたが、また、次のオリンピックのタイミングで第2弾を実施したいと思います。

食事を楽しめるような動画作成を

私が動画を使用しての給食指導を始めたのは、コロナ禍の黙食がきっかけでした。全員がみな前を向き、会話も楽しめなかった給食時間に食事を楽しめるように何かできないか…と思い立ったからです。
これまで、「給食でSDGs!」や、「日本全国味めぐり」など毎年テーマを設定し動画を作成してきました。今年度は「減塩」をテーマに、自分の健康を大切にしながら、食事を楽しむことができるような動画を作成しようと思っています。