食育キーパーソン

活動のキーワードは「たべる たいせつ」

「たべる たいせつ」をキーワードとして10年以上、食育は重要な活動に位置づけていると語るのはコープみらい理事・上野八重さん。食べ物を大切にするだけでなく、食べることそのものが大切な営みで、それを伝える取組の一つに「活動サポーター」があると言う。「もったいないを考えよう」やSDGsをテーマにして、東京エリアは都内の学校からの要請で食育の出前授業を展開。プログラムは同サポーター達が考え、実践、「振り返り」と改善を重ねている。

上野八重(ウエノ ヤエ)

上野八重(ウエノ ヤエ)

コープみらい理事。愛媛出身、2012年より生活協同組合の活動に参加。ブロック委員会を経て2020年より現職。主に東京エリアを担当。

活動サポーターのメンバー

活動サポーターのメンバー

活動サポーターのメンバー

活動サポーターのメンバー

Q:コープみらいの出前授業はどのような仕組でしょうか。

学校からご要望を受け、活動サポーターが学校に訪問して授業を行います。食育に関連したプログラムでは「早寝、早起き、朝ごはん」(主に低学年向け、35~40分程度)、「もったいないを考えよう」(主に低・中学年向け、35~40分程度)、「SDGsってなぁに?」(主に高学年向け、45分)があり、学校の要望を聞きながら調整して授業を進めます。実際の授業を行うのは活動サポーターのメンバーで、事務局が連絡や教材づくり等で活動をサポートします。

Q:出前授業を行う活動サポーターとはどのような人達ですか。

組合員ボランティアで東京エリアは2018年から活動を始め、出前授業には2019年から取り組んでいます。メンバーは現在7人で、授業にはおおむね3人、プログラムによっては4人以上で訪問しています。どのプログラムも、学校や地域から寄せられたニーズから事務局としてテーマを絞り、サポーターに引き継ぎ作成されたものです。授業の進め方や教材等のプログラム内容はサポーターに任せ考えてもらいました。 最初に作ったプログラムは「早寝、早起き、朝ごはん」で、特別活動や生活指導の一つとして、先生の授業とは違う角度からの話として聞かせてほしいというニーズでした。先行していた他エリアのプログラムを参考にしましたが、サポーターが毎月のように集まり「こうしたらいい、ああしたらいい」と話し合いながら作り上げました。完成したプログラムは学校で子ども達の反応を見ながら少しずつ改良も加えてブラッシュアップして、より伝わりやすいものにしています。

Q:授業改善の取組はどのようにしていますか。

授業後は必ず控室で「振り返り」を行い、その日のうちに改良修正点を話し合っています。子ども達の反応はダイレクトですから、次はここを変えようかと事務局も交えてその場でブラッシュアップしています。他の活動でも何か行ったら「振り返る」ことはサポーターの皆さんにとって習慣になっています。リピーターとして呼んで下さる学校も増えているのですが、前回よりもっと向上しているはずです。また新しいプログラムが完成すると、生協会員の勉強会でデモ授業を行い、会員間ですが子どもを持つ母親・父親としての目線からチェックしてもらいます。

Q:活動の実績はどのようですか。

2023年度の実績で、呼ばれる学校の学年によりニーズが変わるのですが、例えば低学年は「早寝早起き朝ごはん」が多いかなという実感です。近年は食品ロスをテーマに希望される学校が増えて「もったいないを考えよう」を選ばれることも増えています。高学年になると、食育も含めて広くSDGsのテーマの希望が少なくありません。昨年度は13会場で延べ772人を対象に実施しました。 学校の希望で1クラスごとの場合もあれば、学校開放日で保護者も参観したいといった要望もあって、体育館で学年全体を対象に行ったケースもあります。やはりコロナ禍を過ぎて、学校公開日での希望が増えてきています。

Q:子ども達の反応はいかがですか。

子どもから意見・感想を聞いた中で印象的だったのは、「早寝早起き朝ごはん」の授業を聞いた低学年児童が「早く寝てスイッチを入れます」と発言していました。また「もったいないを考えよう」では「自分の食べられる量を考えて、残さないようにしたい」、SDGsの授業では「世界の水問題についての動画が印象的だった」「海に大量のゴミが漂って、カメが網に絡まっていてびっくりした」などの声がありました。

Q:新しいプログラム等の今後の予定は何でしょうか。

SDGsをテーマにしてほしいとのニーズが増えているのですが、現行のプログラムは高学年向けなので、短くしても45分以上でフルバージョンでは60分程度の長さ。17の目標のうち7つ程度を取り上げています。昨今は低・中学年向けのニーズが高いので、今後は食育も含めて3、4年生でも聞けるようなプログラムを制作中です。現行の中身をもう少し短縮し、かつ、中学年でも興味関心を持ってもらえるような、生活に身近な話題から扱ったプログラムで、今年度中に完成を目指しています。